溺愛主義な御曹司と授かり契約婚

書籍情報

溺愛主義な御曹司と授かり契約婚


著者:皆原彼方
イラスト:森原八鹿
発売日:2021年 6月25日
定価:620円+税

由緒正しき宇津美家の娘として、早織は目の前にいる怜悧な瞳を持つ彼と、本日政略結婚する。
今日まで話したこともない夫となる人――緒方冬生との結婚に求められるのは、緒方家の跡取り、つまり子供を生むことなのだろう。
そのためには、やっぱりそのための行為をしなくてはいけなくて……。
緊張に体を固くする早織だが、冬生は冷たい雰囲気と打って変わって優しく彼女をエスコートする。
「どんな姿を見せたとしても、俺は嗤ったりはしない。だからそのままの早織を見せてくれ」
2人の間に愛はなかったはずなのに、始まった新婚生活は存外甘くて。早織はどんどん彼に惹かれていき――!?

【人物紹介】

宇津見早織(うつみ さおり)
父が事業に失敗したことをきっかけに、冬生と結婚をすることになった。
子供が好きで、親戚の子どもたちによく読み聞かせをしていた。
一度仕事先で冬生を見かけた事があり、その時の印象で彼を怖いと思っていたが……。

緒方冬生(おがた ふゆき)
緒方財閥の長男で次期社長。
仕事では一切の妥協を許さず、親の七光りではなく実力で社員から信頼を得た。
早織を心から愛しており、仕事場での姿と打って変わり、彼女を過保護で溺愛している。



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【試し読み】

 心臓がうるさく鳴り立てる中、青が揺らめく瞳がゆっくりと近付いてくる。睫毛が触れ合いそうな距離で見るそれは、やっぱり冬の夜空のようで、̶̶̶̶こんなときだというのに『綺麗だな』と見惚れてしまう。
 その間にも冬生さんはどんどん距離を詰めてきて、まだ覚悟の決まり切っていない私の唇に、優しく食いついてみせた。
「っ、ん……」
 初めて触れた男の人の唇は私のものよりも薄く、眩暈がするほどに甘い。思っていたよりも抵抗感はなく、ただ『キスしてしまった』という衝撃と、言いようのない気恥ずかしさが胸を満たしていく。
 ゆったりと下唇をついばまれる感覚は、想像していたよりもずっと生々しく、淫靡なも
のだった。薄く柔い皮膚の下まで触れられているかのようで、未知の感覚に背筋が震える。
 怖い。けれど̶̶̶̶嫌ではない。
「大丈夫だ、ちゃんと呼吸をしろ」
「ふ、ぁ……っん、はい……」
 促されるままに呼吸を再開すれば、大きな手が後頭部を撫でてくれた。くしゃりと髪が掻き混ぜられる音がして、その合間に唇同士が睦み合う微かな水音が鳴る。徐々に熱くなっていく唇を甘噛みされると、今度は違う震えがうなじの辺りを甘く痺れさせて。
「っは、……これが好きか?」
「ふ、っあ……あの、あんまり、分からなくて……」
「分かった。……俺が教えよう。お前は素直に感じていればいい」
 婚姻届を書いていたときよりも、熱の灯った低い声音。それが濡れた唇を掠めると同時に、ぬるついた舌がその合わせ目を窺うようになぞった。
「口を開けてくれ」
「ふ、ぁ……」
 おずおずと唇を開けば、舌はそのまま咥内にまで潜り込んでくる。狭い口があっという間にいっぱいになるほどの、大きな舌。彼は上背も手も、何もかもが私よりずっと大きいのだと思い知らされて、今まであまり意識してこなかったお腹の奥、̶̶̶̶下腹部の深部がほんのりと疼くのが分かった。
 これが、気持ちいいという感覚なのかもしれない。想像よりもずっと優しい、初めての感覚。私はそれに戸惑いながらも、彼の舌の巧みな動きに唆され、いつの間にか自分でも少しだけ舌先を動かしていた。
「っふ、ン……早織、もう少し口を開けるか」
「ぁ、……」
「早織?」
 キスをほどいた冬生さんが、そっと私の名前を呼ぶ。
 その唇はまだ私にほんのりと触れたまま、音を紡ぐための動きで、私の唇をくすぐった。
「……も、いっぱい、です」
「ふ、」
 そうか。
 緩く目元を下げた冬生さんが、唇を触れさせたまま呟いた。その声音はどこか甘やかすような、優しい響きを持っていて、私の心に纏わりついたままの恐怖心や不安を溶かしていく。
 さっきも思ったけど、怖いだけの人じゃないのかもしれない。いや、それとも私があんまりにも初心者丸出しで、可笑しくなってしまっただけかも。
 キスに没頭しながらも、頭の片隅でそんなことを考えていると、じゅう、と舌を厭らしく吸い上げられ、そのままキスがほどかれた。
「っは……あ、ふゆき、さん……?」
「脱がすぞ」
 キスにふやかされた頭に、冬生さんの低い声音が緩慢に染み入っていく。意味を理解するよりも先に、彼の手が私の纏う頼りのないキャミソールを剥いでしまって̶̶̶̶脱がされたのだと認識するころには、ショーツ一枚の姿にされ、シーツの上に組み敷かれてしまっていた。
「……美しいな」
「っえ、あ……!」
 青い炎を湛えた瞳が、露わになった私の素肌を視線でなぞる。褒めそやすようにその目が細まるのを見た瞬間、どっと羞恥が溢れてきて、私は慌てて胸元を隠すように腕を回した。
「駄目だ。隠すな」
「ッや、だってこれ、恥ずかしい、です……」
「そうか」
 行為が始まる前と同じ相槌のはずなのに、その声音は砂糖が二匙ほど加えられたように仄かに甘く、私の胸をうずつかせる。硬い指の腹が剥き出しの脇腹をくすぐるように撫で上げるから、じれったい感覚に思わず太腿を擦り合わせてしまって。
「ぁ、ッんん……」
「ほら、腕をどけてくれ」
「やっ、……ン、あの、待って」
「待たない」
 は、と熱い息が耳元にかかった。ぞくぞくするほどの低音を吹き込まれると、くすぐったさと疼きによって力が抜けてしまう。その隙に優しく腕をどけられて、ついにまろい膨らみが冬生さんの眼前に晒される。
 身体の震えに合わせてふるりと揺れるそれに、硬い指先が沈み込んだ。
「ひゃ、ん、ぅ……っ」
「もう少し身体の力を抜いたらどうだ」
「む、むり、です……、っんん」
 人に触れられるという、慣れない感覚に肌が粟立つ。恐怖こそないけれど、拭えない違和感と性感と呼ぶには幼すぎるじんわりとした熱が、私をひどく困惑させた。キスでほぐれていた身体が再び緊張し、強張っていく感覚。
 それなのに、沈む指に合わせて卑猥な形を成す膨らみはどこまでも柔らかで、徐々にその先端をぷっくりと膨らませていってしまう。触れてほしいと強請っているかのような、はしたなくて素直な反応に、私の頬は再び羞恥で色付いた。
 少し触られただけでこんなふうになってしまうなんて、もしかしたら私は随分と厭らしい身体の持ち主なのかもしれない、̶̶̶̶そんな考えに苛まれる私の目尻から、涙が一粒零れ落ちる。
「……」
 膨らみの芯を揉み込み、蕾をやわやわと捏ねていた手が止まる。
 一瞬の沈黙のあと、窺うように顔を覗き込まれて。
「……嫌か?」
「ちが、……っあの、本当に私、初めてで」
「ああ」
「そ、それで……」
 知っているとばかりに頷かれて、つい言葉に詰まる。
 嫌なわけではないし、私がこの結婚で成すべきことは『子どもを作ること』なのだから、拒否することはそもそもできないと分かっている。ほぼ初対面の男性に触れられるという恐怖は、冬生さんが紳士的に接してくれているおかげで随分と緩んできているし、行為自体への恐怖や不安も、少しずつではあるけれど、薄れてきていた。
 だからきっと、浅ましい自分をこの人に晒しても大丈夫なのかどうかが、最後の不安だった。
 ̶̶̶̶でも、これをどう伝えたらいいんだろう。
「……お前が何を案じているのかは分からないが、」
 沈んでいく私の思考を切り裂くようにして、冬生さんのはっきりとした声が響く。はっとして顔を上げれば、彼はひどく真摯な瞳でこちらを見据えていた。
「どんな姿を見せたとしても、俺は嗤ったりはしない。だからそのままの早織を見せてくれ」
  ̶̶̶̶俺は、それが見たい。
 どこまでも本音としか思えない、気恥ずかしいぐらいに真っ直ぐな言葉。それが胸へと突き刺さり、私の中に巣食う憂いを溶かしていくのが分かった。
 冬生さんについてはきっとまだ知らないことのほうが多いけれど、彼がこういうときに誤魔化すようなタイプでないことは、既に何となく分かっていた。そんな彼にここまで示されてしまえば、私にはもう逃げ場すらなくなってしまって。
 羞恥以外のもので頬を染め、ゆるゆると視線を下げていく私に、冬生さんの瞳がやわい光を帯びる。溢れた最後の雫を唇で拭って、彼はもう一度私の膨らみへと手を伸ばした。
 芯を持つ蕾を指の腹で優しく摘んで、緩急をつけて捏ねたり、先端のほうを短く切り揃えられた爪でかりかりと引っ掻いたり。先ほどよりも明確に快感を与えようとしてくる指戯に、私の身体は熱を溜め込み始めて。
「ひ、ぁ……っあ、なに、」
「気に入ったか?」
「ッん……! ぁ、っわ、わかんな……」
「そうか。……今はそれでいい。その感覚に集中していろ」
 どこまでも丁寧に私へと触れる冬生さんが、唇の端を愉しげに吊り上げる。その唇が、散々なじられたせいでぽってりと腫れた蕾に、ちゅう、と吸い付いた瞬間、̶̶̶̶身体の中心を甘い痺れが駆け抜けて、背筋が反り、爪先が可愛らしく丸まった。
「ゃ、ぁあっ……!」
「ッは……こういう触れ方のほうが好きそうだな」
 咥内に招かれた蕾が熱い舌になぶられ、硬い歯に優しく甘噛みされる。じくじくと切ない疼きを放っていた箇所をそんなふうに弄ばれて、私が平気でいられるはずもない。
「ふゆき、さ……っ、や、待って」
「ン、」
「ッう、ぁ……」
「……もう少しゆっくりのほうがいいか」
 蕾から一度口を離した冬生さんが、膨らみの向こうから尋ねる。私は再び滲み始めた生理的な涙を拭って、何度も頷いた。彼の視線がじっと注がれ、やがてその口元が微かに緩む。
「分かった。……お前の望むようにしよう」
「あ……」
 『お願いを聞いてもらえた』という喜びが、じわりと心臓を蕩かす。きちんと尊重されているのだと、その些細な行動で分かってしまうから不思議だった。
 冬生さんは先ほどまでの激しい口淫をやめて、舌先だけでゆるゆると蕾を舐め回し、唇で優しく食むだけの甘ったるい愛撫を施し始める。一緒に、心臓の鼓動よりも遅いペースで膨らみを揉まれ、放置されているほうの蕾を撫でられると、ぬるま湯に浸かっているかのような快感が、じっくり、じっくりと私の全身へと広がっていった。
 こんなの、ずるい、̶̶̶̶そんな八つ当たりをしたくなるぐらいに、甘美な悦楽。とろとろと蕩けていく身体を捩っても、少しも拘束から抜け出せない。私はいつしか唇を閉じていることすらできなくなり、恥ずかしいぐらいに甘ったるい嬌声を零すばかりだった。
「ん……、ん、ぁ、ああっ……」
「ふ、……そろそろ、もう一度吸うぞ」
「ぁ、っ……ぅんん……!」
 じゅうう、とひどい音がして蕾がきつく吸い上げられ、私の背筋が再び反った。刺激の強さは先ほどまでと一緒なのに、たっぷり甘やかされてしまった膨らみは、もうその愛撫を『気持ちいい』としか感知できなくなってしまう。
 今の甘ったるい奉仕は、私にこの﹃気持ちいい﹄という感覚を教え込むためのものだったのだろう。彼の思い通りに躾けられた身体を持て余し、私は踵や爪先で無意味にシーツを引っ掻く。縋るように冬生さんの頭を抱きしめれば、腕の中からこちらを見上げた彼が、ふっと目の端を下げてみせた。
「吸われるのが好きとなると、子どもができたら大変そうだ」
「え、……あっ、」
 そうだ、̶̶̶̶私はこの人と、子どもを作ろうとしている最中なんだった。
 唐突に今している行為の目的が思い出されて、どっと胸に羞恥がこみ上げる。ぬるつく舌に弄ばれた蕾がさらに硬く張り詰めたのが分かったのか、彼の歯が素直な反応をからかうようにその側面を厭らしく掻いた。
 一度男の人から与えられる快感を知ってしまえば、﹃子どもを作る﹄という行為が現実味を帯びてくる。これから目の前の彼に何をされるのか、自分がどうなってしまうかが、先ほどまでよりずっと鮮明に想像できてしまって、̶̶̶̶恥ずかしいのに、どうしようもなくどきどきした。
「……。そろそろ、こちらの準備もしよう」
 お腹の辺りを擦っていた冬生さんの手が、私に唯一残されていたショーツへと伸びる。しっとりと汗を滲ませる柔い内腿へと潜り込んでいった指先は、やがてぐっしょりと濡れたクロッチ部分を悪戯に押し込んだ。じゅわ、と溢れ出る蜜と、何かが内側に引き込まれるような切なく甘ったるい悦楽。
 これ、たぶん駄目なやつでしょう。早くもそう悟った私は、慌てて冬生さんの手を太腿で挟んで押し留めようとする。でも、それも﹁可愛らしい抵抗だな﹂と囁いた冬生さんによってあっけなく開かれて、ついにはショーツまでもが脱がされてしまった。
 潤んだ秘裂が外気に触れてひくりと震える。彼の視線がそこへ向くと、堪え性のない蜜口がきゅうっと締まって、浅瀬に溜まっていた愛液を外へと押し出した。会陰に垂れていく粘性の高い蜜の感触がひどく淫猥で、思わず腰が浮いてしまう。
「っ見ないでください……」
「見ないと触れられないだろう」
 息を零すような、ささやかな笑い声。それと同時に冬生さんの硬い親指が花唇にかかり、優しい手つきで秘所を開かれる。くぱ、と密やかな音が鳴るのすらも恥ずかしく、私は顔を両手で覆った。
「お前は見ていなくていいのか?」
「み、見てたらどうにかなりそうなので……!」
「何をされるか分からないというのも怖いと思うが」
 そう言うなり、冬生さんが指先を蜜口の上へと滑らせる。そしてそこに咲いていた小さな芽、̶̶̶̶女性が一番感じやすい、敏感な真珠を包皮ごと摘まんでみせた。
「~~……っ!」
 一瞬、意識が白く染まる。
 軽く押しつぶして、離して。押しつぶして、離して。繰り返されるたびにきゅんきゅんと疼く幼気な性感帯が、男の人の熱に侵されていく。自分でたまに触れるときとは明確に違う、鋭く強烈な快感に、お腹の奥が溶け落ちる感覚がした。隘路はまだ硬いのに、まるで最奥は彼に蹂躙されるのを待ち望んでいるかのようで。
「ふ、ぁ……ッあ、ゃ、んんぅ……っ!」
「悦さそうだな。……このまま、ここで一度果ててみろ」
「っあ、ぇ、果てる、って……」
「イッてみろ、ということだ」
 耳朶に触れた唇が、どろりと欲を孕んだ声音で囁いた。
 今まで私を翻弄するばかりだった冬生さんが初めて覗かせた欲望。それに興奮を煽られた私は、唐突に始まった淫芯への愛撫によって、あっという間に果てへと押し上げられていく。側面を緩急付けて揉まれ、根本のほうを躾けるようにきゅっと摘ままれる。裏筋を爪の先でそっとこそぐように引っ掻かれると、過ぎたる暴悦に全身がきつく痙攣した。
「あっ、ぁ、ッく、ぅ……っあ、やだ、これ……!」
「そうだ、そのまま……」
「ッふゆ、き、さ……」
「大丈夫だ、怖いことはない。……気持ちよくなってくれ」
 安心感のある低音が私を導き、喜悦へと誘う。この声に『怖いことはない』と言われると、本当にそんな気がしてくるから不思議だった。
 緩んだ心と身体に、少しずつ、気持ちいい感覚が蓄積していく。ふわふわとした浮遊感に苛まれ、唇からはあえかな喘ぎ声が漏れる。視界に星が散らばって、奥へ奥へと引き込まれていく快感に腰が浮いて、̶̶̶̶駄目押しのように包皮の内側、剥き出しの真珠を掻きむしられた瞬間、濁流のような法悦が私を襲った。
「ッあ、ぁあ……~~~っ!」
 冬生さんの手を、激しく痙攣する太腿できつく挟み込む。今度こそはっきりと意識が白く染まり、気付いたときには全力疾走でもしたかのように息が乱れていた。噴き出た汗がシーツに吸われ、じっとりと甘い香りが周囲に漂う。
「ぁ……っ、ん……」
 浮遊感に侵される頭の端に、これが絶頂なのだと刻み込まれたのがよく分かった。法悦は重く後を引き、身体の痙攣がなかなか止まらない。冬生さんは荒い息をつきながら、そんな私の痴態をあますところなく見つめていた。
「ん……ちゃんとイけたな」
 片側の唇を緩く吊り上げた冬生さんが、果てたばかりでじくじくと火照る秘芯を宥める
ように、ゆっくり、ゆっくりと捏ねてくれる。
 初めて味わった絶頂の味はひどく甘美で、頭の中がぐずりと煮崩れていくのが分かる。恥
ずかしいと感じていたことも、冬生さんに抱かれることへの戸惑いも、曖昧に溶けてしま
って戻ってこないような気がして、̶̶̶̶
「冬生、さ……熱い、です」
「ああ。……このまま、中をほぐそう。もう少し頑張ってくれ」
「っ、ん」
 秘所を責め立てたのとは逆の手が、私の頬や目元を撫でてくれる。穏やかな温かさに、昂っていた身体が緩慢に落ち着きを取り戻していった。ちゅ、ちゅ、と可愛らしい音を立てて何度も目尻にキスを落とされ、その間に忍び寄ってきた指が泥濘へと沈んだ。
 硬く、節ばった太い指。少しひんやりとしたそれが、熱く熟れた襞を掻き分けていく。自分の指すらも受け入れたことのなかった隘路は、絶頂で緩んだとはいえまだまだ狭い。冬生さんはそんな内壁を念入りに、殊更丁寧な手つきで拡げていった。
「痛くはないか?」
「は、はい……っ、あ、」
 蜜塗れの壁をぐうっと押され、二本目の指が潜り込んでくる。そうしてまた拡げられた媚肉が三本まで咥え込めるようになったところで、冬生さんはようやく指を引き抜いた。彼の形の良い指先が白っぽい愛液で濡れている光景に、思わずこくりと喉を慣らしてしまう。
「そろそろいいか……」
 は、と息を零した冬生さんは、とろりと口を開けた私の秘所を見つめて、青混じりの目を眇めてみせた。
「挿れるぞ」
「あ……」
 下の服も脱ぎ去った逞しい身体が、足の間に分け入ってくる。腰を抱えられ、しっかりと下拵えを施された花唇の奥に楔の切っ先が触れた。見えたのは一瞬だったけれど、その雄々しいシルエットははっきりと目に焼き付いてしまって、うなじの辺りがひどく熱くなる。
 他の人のものを知らないから何とも言えないけれど、きっと冬生さんのものは大きいほうなのだろう。私が握るには苦労しそうなほどの幹と、はっきりとついた先端の段差。まろい先端に開いた穴からは、既に薄く淫液が滲んでいた。

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