婚約破棄される悪役令嬢なのに、親密度MAXの王子様からヤンデレ執愛されています!?

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婚約破棄される悪役令嬢なのに、親密度MAXの王子様からヤンデレ執愛されています!?

著者:宮永レン
イラスト:コトハ
発売日:2024年 9月20日
定価:630円+税

ラウレンテ公爵の一人娘であるアリーチェ・ディ・ラウレンテは、王宮の舞踏会に参加していた。
彼女の手を取っているのは、アリーチェの婚約者である王太子ジルベルト・ロッティ・アンジェリス。
そのとき、大広間の中央扉が勢いよく開き、若い娘が会場内に飛び込んできた――。
どうしてか、アリーチェは彼女の名前を知っており、酷い頭痛に襲われながら転生前の記憶を取り戻していく。
ここは十八禁乙女ゲームの世界で、しかもアリーチェはヒロインとジルベルトの恋を邪魔する悪役令嬢なのだった!?
次に目が覚めたとき、ジルベルトがベッドの横にある椅子に腰掛けていたのだが――?
彼の頭上には親密度を示す数字が現れており、しかもそれがマイナス3000を示していた――!?
アリーチェはジルベルトの未来を思い、自ら婚約破棄を申し出ることに。
その後、家を出て、一人で生きていこうと情報収集に奔走するアリーチェ。
隣国からの留学生の手を借り、隣国まで逃げようとしたのだが、約束の場所にはなぜかジルベルトがいて……?
「君は他の誰にも渡さない」
しかも、いつの間にか親密度が999になっていたジルベルトから熱いキスを落とされてしまい……!?

【人物紹介】

アリーチェ=ディ=ラウレンテ
ラウレンテ公爵令嬢。
真面目な性格をしており、自分に自信がなくお人よしな一面も。
ある舞踏会の夜、自身が十八禁乙女ゲーム世界の悪役令嬢に転生したと知って――?

ジルベルト=ロッティ=アンジェリス
サンタレアド国の王太子。
一見クールだが、一途で独占欲が強い。
アリーチェから婚約破棄の申し出を受けるも、本気にしていなかったのだが……。

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*取り扱いサイトは、各書店に掲載され次第、更新されます。

【試し読み】

 扉が開いて、降り立った目の前は王宮だ。ジルベルトに有無を言わさず手を引かれ、連れていかれた先は彼の部屋。
 中には護衛と侍女が控えていたが、アリーチェの姿を見ても驚く素振りは見せない。まるで彼女がここへ連れてこられるのを最初から知っていたかのようだ。
「しばらく二人だけにしてほしい」
 ジルベルトがそう告げると、使用人たちは恭しく頭を下げて退室していく。
「こちらへ」
 彼が歩き出したので、ためらいながらもその後をついていった。
 どこへ行こうというのだろう。
 公爵家のアリーチェの部屋も十分に広いが、こちらはもっと広く天井も高かった。
 落ち着いた色味の調度品が揃えられ、暖炉には火が入っていて中はちょうどいい温度に調整されている。
 ジルベルトは来客用のソファセットも通り過ぎて、部屋の奥にある続き間を通り、隣の部屋まで来るとようやく足を止めた。
 そこには豪奢な寝台が一つ。こちらの部屋にも暖炉の火で適温に調整されている。
(ああ、ここはゲームのスチルで見た通りの――寝室だ)
 アリーチェは緊張よりも先に、そのことに感動してしまった。
 ゲーム終盤になると主人公への親密度が上がり、ここで彼に抱かれる場面が出てくる。
(恥ずかしながら、それをオカズにしていたのは私です……)
 前世で男性経験はなかったし、恋人と呼べるような人もいなかった。だからずっとジルベルトに想いを寄せて自分を慰めていたのに――。
「妃の役目の一つは世継ぎを設けること。だが体の相性というものがあるからな。もし、合わないとしたら婚約を解消してもいい」
 ジルベルトは、目元をほんのりと染めてこちらを見つめてきた。その瞳の奥には深い熱情が込められていて、アリーチェの胸がどきんと大きく跳ねる。
「相性……」
 唾を飲み込んだら、小さくのどが鳴った。
 合わないなら婚約解消できる――。
 ならば行為の途中で拒否すればいいのだ、彼には悪いが簡単なことだ。
「いいわ。その代わり、合わない時はすぐに帰してね」
 いくらジルベルトの親密度がカンストしているとはいえ、嫌がる女性を無理やり抱くキャラではないだろうから、途中でストップを要求すればそこで終わるだろう。
(早くメインストーリーから退場するのよ)
 アリーチェはワンピースのボタンに手をかけた。上から一つずつ外していくが、初めての経験に指先が緊張で震えて全部外すのに時間がかかってしまう。その間にジルベルトも服を脱いでいた。
 寝室の窓辺のカーテンは端に寄せられ、上品なタッセルで留めてあるので、朝日が部屋に射し込んでくる。
 こういう行為は夜にするものだと思っていたから、なんだかいけないことをしているみたいで落ち着かなかった。
 靴を脱ぎ、コルセットをはずすと、アリーチェの張りのある大きな二つの乳房がふるりとまろび出た。
 ジルベルトの視線を感じたが、できるだけ意識しないように下を向いてさりげなく胸元を腕で隠す。
「それは脱がないのか?」
 問いかけられて、それがドロワーズのことだと察する。
「だって、合わなかったらやめてくれるんでしょう? それなら最初から全部見せる必要はないと思うの」
 それ以外に、単純に恥ずかしいからという理由もある。
「わかった」
 ジルベルトが真剣な表情で近づいてきたので、思わずぎゅっと目をつぶると、手を引かれて寝台の上に押し倒された。
 二人分の体重を受け止めて、ぎしりと寝台が大きく軋む。
 おそるおそる目を開けると、目の前には均整の取れた引き締まった体が朝日を浴びていた。
(うわ……かっこいい)
 画面で見るより、数倍いい。ほどよく鍛え上げられた胸板が実際に目の前にあるなんて信じられない。
 アリーチェはぼうっと見惚れてしまった。そこにふっと堪えるような吐息が落ちてくる。
「想像していた以上に綺麗だな、アリーチェ」
 ジルベルトは熱を孕んだ瞳でこちらを見つめ、そっとアリーチェの髪を指で梳いた。
 そのストレートな誉め言葉と優しい仕草に、うっかり心臓が口から飛び出しそうになる。
「そ……っ、そんなの、口ではなんとでも言えるし……」
 前世では平凡な容姿で褒められたことがなかったので、照れ隠しでつい自分を卑下する言葉が出てしまった。
「口だけじゃないんだがな」
 そう答えたジルベルトの瞳の奥に凶暴な性の色が光る。
 ぎゅっとのしかかられて、唇を重ねる。その時、太ももに触れた熱い熱の塊に彼女の心臓が再びびっくりして大きく跳ねた。
(こ、こ、この感触は……男の人のアレですか!? まだ何もしていないのに、もう臨戦態勢なの?)
 口だけではないというのはそういう意味なのかと、アリーチェはぐるぐると目を回しそうになる。
 だが彼女が焦っている間にも、彼の口づけは続いていた。はじめは軽く吸ったり、触れたりするだけのキスだったが、少しずつ熱を帯びて深くなってくる。
「ふ……んぅっ……」
 髪の中に手を差し込まれて、頭を撫でられながらされるキスは温かくて心地よかった。
 自然と彼の背中に腕を回したら、ひくんと彼の分身が反応したような気がした。
 つかず離れず角度を変えて唇を求められ、息が続かなくなってくる。喘いだところに彼の舌がぬるりと口腔に滑り込んできた。上顎の粘膜をなぞったり、舌の付け根をくすぐるように舐められたりして、ぞくぞくと甘い愉悦が腰に降りていく。
「あ……ふぁ……っ」
 奥までたっぷりと舐め尽くされた後、力の抜けた舌を絡めとられ吸い上げられた。何度も繰り返されるうちに二人の境界がわからなくなるくらい吐息も熱くなり、じんと頭の芯がしびれ、飲み込み切れない唾液が口の端から溢れる。
 心臓が大きく高鳴っていた。全身を巡る血が熱く、彼女の白い肌は上気して色づき始めた。
「キスは問題ないようだな」
 ゆっくりと顔を上げたジルベルトとアリーチェの間にねっとりとした銀糸が光り、長く二人をつないでいたが、彼が笑うとそれが途切れた。
(む、無理って言うはずだったのに、気持ちよくて、つい……!)
 アリーチェはかあっと顔を赤くした。その様子を見た彼が満足そうに微笑む。
(その顔、反則なんだけど!)
 スチルで見るよりも、さらに人間味を増していて、アリーチェの心をまっすぐに射貫く。
 やがてジルベルトは髪を撫でていた手をゆっくりと首筋をなぞるように下ろしてきて、鎖骨の上を滑り、乳房にそっと触れた。
 馬車の中と違って、直に伝わる掌の温かさにアリーチェは身をすくめる。
「ジルベルト、だめ……」
 触れる手に少しずつ力が入り、指先が淡く色づく乳輪をかすめる。そのじれったい動きに、体の奥がむずむずしてきて、慌ててアリーチェは彼の肩に手をかけて押しのけようとした。
「本当にだめなのか?」
 すりすりと胸先を撫でる彼の指の腹の感触に、甘い痺れが走り、アリーチェは唇を引き結んで薄目でそちらを見た。
 薄い乳輪の色味が増して濃い桃色になっているだけでなく、つんと硬く勃ち上がっている。そこを彼が撫でているのだ。
「や、だ……っ」
 指先が頂きをかすめる度に、じんわりとした愉悦が起こって、耐えきれずにひくんと背中が浮いた。
「やめて……」
 アリーチェの瞳が潤んだ。
 本気で嫌なのではない。じれったい動きに我慢できなくて、もっと強い刺激がほしいと体が訴えてくるから、これ以上触れられたら流されてしまいそうでこわい。
「口では何とでも言えるな」
 ジルベルトがそう言って薄く笑う。指先はとても優しい動きなのに、彼の視線は獲物を前にした獣のように鋭くて、今にも食べられてしまいそうな気がした。
「ねえ、無理だって――」
 アリーチェが少しむきになって眉を寄せると、ジルベルトはきゅっと頂きをつまみ上げた。
「ひぃあぁ……っ」
 ほしかった強い刺激が突然訪れ、驚いて腰が跳ね上がる。
「柔らかいのに、芯があるみたいにしっかり尖っている。こうされるのが気持ちいいのか?」
 そう言いながら、ジルベルトは乳首をねじってみたり、くるりと押し回したり、次々に刺激を送ってくる。
「や、あン……っ、ふ――」
 甘い声が漏れてしまう口元を片手で押さえながら、与えられる愉悦に堪えようとするが、彼に弄られるとその都度背中をのけぞらせてしまい、自ら彼に胸を差し出すような形になってしまった。
 ジルベルトは赤い舌をのぞかせると、味見でもするかのようにぺろりと乳首を舐め上げた。
「ひゃぁ……! や……っ、あぁん!」
 ちろちろと先端を舐めていた舌が、乳首を絡めとり、彼の口腔に含まれてしまった。
 ねっとりと熱く吸われ、恥ずかしさと愉悦の間でアリーチェの目尻に涙が滲む。
(どうしよう、やめてもらわなきゃいけないのに……)
 艶めかしい舌の動きに翻弄されるうちに、もう片方の乳首を指でかりかりとひっかかれ、下腹部の奥がきゅうっと疼いた。
 彼の体を押し返そうと両肩に掌を当てるが、びくともしない。
「俺にこうしてほしくて、ことあるごとに体を押し付けてきたくせに」
 ジルベルトはそう言って胸に顔を埋め、両手で乳房を強く揉みしだいた。柔肌に指が食い込んで少しだけ痛みを覚える。
 ――それは悪役令嬢としての道を突き進んでいた頃のアリーチェがやったことだ。
(ああ、そうよね。私は悪役令嬢なんだから、ジルベルトに愛されるはずがない。やめてと言ってもやめてくれないのは、私を辱めて嫌がる姿を笑うためなのかもしれない)
 ずきりと胸が痛んだ。どうして主人公に転生しなかったのだろうと、今更考えても仕方ないことに心がもやもやする。
「ジルベルト……ちょっと、痛い……」
 そう言っても無駄だと思いながらもぼそっと呟くと、彼が胸の間から顔を上げた。
「すまない……ずっと自分の手で触れてみたいと思っていたから。本当に柔らかくて弾力があって、つい加減が利かなくなった」
 手を止めて、こちらに向けたその表情にアリーチェはどきりとした。
 熱を孕みながらも切ないまなざしがまっすぐに向けられている。目元を赤く染め、口元は何かをこらえるように引き結ばれていた。
「こういうことをするのは初めてだから……できるだけ痛くないようにする」
 だから許してほしい、とジルベルトが言って、その先はキスにつながれる。
(もしかして照れているの……?)
 ジルベルトはいつも完璧で余裕のある人だと思っていた。けれど、こんな風に本音を打ち明けてくれるなんて、なんだか心を許してもらえているようで嬉しい。彼の意外な姿に胸がドキドキと激しく高鳴った。
 彼は口づけを続けながら、優しく乳房を揉んできたが、その手が頂きにかかると鮮烈な刺激にアリーチェの背中がのけぞった。
「あっ……ん、や……っ、それ、だめ……」
 拒絶の言葉は情けないくらい弱々しい。
「強くしていないはずだが?」
 少しからかいを含んだ艶のある声がアリーチェの耳に響いた。
 それがだめなのだ。じれったい動きに体の奥がむずむずしてきて、腰がくねくねと揺れてしまう。
 もっと刺激がほしい。痛いくらいの愉悦がほしい。
(だめって言わないと婚約破棄してもらえない)
 わかっているのに、抗えない。
「ジル、ベルト……」
 アリーチェは瞳を潤ませ、弱々しく名前を呼んだ。
「どうした?」
「もう、やめて……」
 本当ならジルベルトはフローラと初めてこういうことをするのだ。自分が甘い時間を過ごす資格なんてない。
 ジルベルトが上体を起こしたので、これで終わりかとホッとしたような残念なような小さな息をついた時、彼の手がドロワーズにかかり、するりと脱がされた。
「胸はやめるが、こちらはまだだったからな」
 彼はアリーチェの足を開いて秘所に手を伸ばした。
「嘘……っ、待って――」
 アリーチェが慌てて腰を引こうとしたが遅かった。ジルベルトの指先によって秘められた花が開かれる。
「きれいな桃色だ。それにたっぷりと蜜を零している」
「恥ずかしいから見ないで……!」
 赤面したアリーチェの耳に、くちゅと小さな水音が届く。
「は……かわいいな」
 ジルベルトがのどを鳴らして、口角を上げた。そして秘裂に隠された薄皮を剥くと、中から瑞々しい紅玉の姿を暴く。
「ここが女性のいい所らしい」
 そこにふっと息をかけられただけで、アリーチェの腰が跳ねた。空気に晒されたばかりのそこはただでさえ敏感だ。それなのに彼はそこに顔を近づけて、そのまま唇を押し当ててきた。
「ひあぁぁっ! だめっ、やだっ!」
 温かな舌に秘粒を舐め転がされ、味わったことがない愉悦にびくんびくんと全身が震える。
 逃げたくてもがっちりと腰をつかまれて、下腹部に溜まる熱が膨らんでいった。ジルベルトがそこに甘く歯を立て、ちゅっときつく吸い上げる。
「あああぁぁぁ……っ」
 目も眩むような快感に襲われて、アリーチェは大きく背中をしならせると四肢をこわばらせてガクガクと太ももを震わせた。体が宙にふわふわと浮いているような不思議な感覚が身を包むが、下腹部の奥は切ないくらい戦慄いている。
「アリーチェは感じやすいのか。それならもっと悦くしてやろう」
 シーツの上にぐったりと投げ出された足の間でジルベルトは機嫌よさそうに笑った。そして再び赤い舌をのぞかせると、その先端で蜜口をつついてくる。
「あぁっ、そこは……っ」
 だめ、と言いたいのに、そこから言葉が続かない。
 ぬるりと侵入してきた舌先が、うねる蜜窟の浅い部分を擦るように舐め上げた。
「ひぃ……っ、気持ち……、ちがう、よく、なんか……っ」
 ぞくぞくと甘い愉悦が肌を滑って、腰のあたりから頭の先へ駆け上がってくる。
 恍惚とした眩暈に体中の力が抜けてしまいそうになるが、頭だけを大きく左右に振ってなんとか理性を保とうとした。
「もっと奥に触れたら、気持ちよくなってくれるか?」
 顔を上げたジルベルトは、嬉しそうに唇についた愛蜜を舌でぺろりと舐め取る。行儀のいい仕草とは言えないのに、それを見たアリーチェの胸はさらに高鳴ってしまった。
 涙の膜が張った瞳を見開くが、彼の指がずぷりと蜜口に差し込まれた瞬間、くしゃりと羞恥に細められた。
「ひぃん……っ」
 長くしなやかな指が体の中に入ってくる。その初めての違和感に慣れなくてアリーチェは情けない声を上げる。
「熱くてぬるぬるしているな、それに指に絡みついてくる。ほら、動かしてもずっとついてくるかのようだ」
 ぬちぬちと粘った水音を立てながら、中指を抜き差しされて、アリーチェは身をこわばらせた。
「あ……あぁ……っ」
「だが、狭い。これではアリーチェを泣かせてしまうかもしれないな」
 そう言ってジルベルトが指を引き抜いて視線を移動させたので、彼女もつられて下の方へ目をやると、そこには猛々しい剛直の先端が見えた。
「ひっ……なにそれ、大きすぎ」
 おもわず慄いて息を呑むと、彼が軽く笑った。
「君のことを考えるといつもこうなる。今も早く君とつながりたくてはち切れそうだ。俺がどれだけ想っているのか、確かめてみるといい」
 そう言って彼に手首をつかまれ、剛直まで導かれる。
 こわごわと触れた彼の剛直の先端は少し濡れていた。ぬるりと指が滑り、そのまま静かに太く長い茎の部分を握ってみる。軽く脈動を感じるそれは熱くて少し弾力があるが、限界まで膨れているのがわかる。
(硬くて大きい……こんなものが私の中に入るのかしら。痛いよね、絶対……)
 だが、初めては痛いとはよく聞く。
(やだ、待って。入れるの前提で考えちゃだめ!)
 アリーチェが慌てて手を引っ込めると、おじけづいたととらえたのか、ジルベルトは再び秘所をまさぐってきた。
「大丈夫だ。少しずつほぐしていくから」
「ジルベルト、これ以上は……っ」
 そう抗議しかけたのに、指先がまた奥まで入り込んできて彼女はびくんと腰を揺らした。
 前後に抜き差しされる指がくちゅくちゅと水音を増していく。
「甘い香りがどんどん濃くなっていく。これほど感じやすいとはな」
 隘路を押し拡げる指が二本に増やされ、それらがバラバラな動きを始める。
「あっ……あん……やぁ……んんっ」
 鼻から抜けるような甘ったるい声が勝手に漏れてしまうのを、人差し指を噛んで堪えた。
「そんなに声を我慢したいなら、手伝ってやる」
 言うなり、ジルベルトに手をつかまれ、かわりに口づけで唇が塞がれる。
 ちゅ、ちゅ、と何度も唇を吸い上げられるうちに体から力が抜けていき、自然と彼の舌を奥まで受け入れていた。
 甘いキスにとろんと意識が蕩け、指先で翻弄されている蜜窟はずくずくと疼いて心地よい痺れに包まれる。
 いっそこのまま彼に委ねてしまおうかとアリーチェは思った。
 大好きな人から与えられる愉悦をどうして拒否できようか。だが、ここで逃げなければアリーチェに待つのは悪役令嬢として悲惨な末路。今は親密度がバグっているが、いつ元に戻るかわからない。その時冷たい態度を取られるよりは、今のうちに別れた方が傷は浅い。
「ジルベルト。お願い……やっぱりあなたとの婚約は解消させて」
 唇が離れた瞬間にわずかに顔を逸らし、アリーチェは顔の前に掌をかざしてキスを拒む。
 彼の初めては運命の相手、フローラでなければならない。二人の幸せがこのゲームの結末なのだから。
「よく聞こえない」
 ジルベルトはどこ吹く風で、愛撫を止める様子がない。
 体を下にずらすと胸の頂きに吸いつき、甘噛みしたり、舌を絡ませたりしながら、隘路を探るように指を這わせてくる。その指先がどこかをかすめた瞬間にアリーチェは強い愉悦を覚えて、甘い声を漏らしてしまった。するとジルベルトはそのわずかな部分を指の腹で執拗に撫でさすってくる。
「ふぁぁ……っ、や、だめぇ……っ」
 首を横に振りながらも、快感を逃せないアリーチェの腰はどんどん浮いていった。
「おかしくなっちゃうぅ……っ」
 ぐちゅぐちゅと愛蜜をかき混ぜる音が部屋に響くが、それが自分のものだとは信じられなかった。
 胸からも下腹部からも同時に快感を送り込まれて、嬌声を上げながらそれをすべて拾い上げると再び目の前がちかちかと眩しくなってくる。
「も……だめっ……あ、ああぁぁっ」
 がくがくと体を震わせたアリーチェは一瞬体をこわばらせると、シーツの海に沈んだ。
 ジルベルトが指を引き抜く動作にさえ感じ入ってしまい、ぴゅっ、ぴゅっと愛蜜が勢いよく噴き零れる。

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