契約夫婦の淫らな夜は蕩けるように甘くて ~天才外科医との蜜愛婚~

書籍情報

契約夫婦の淫らな夜は蕩けるように甘くて ~天才外科医との蜜愛婚~


著者:紺乃藍
イラスト:森原八鹿
発売日:2023年 2月10日
定価:620円+税

星川食堂の一人娘である百花は、食堂の経営難に頭を抱えていた。
郷見総合病院の外科医・国森透夜は食堂に対して資金援助を提案するも、食堂の大将である百花の父に断られる。
だが、家族で解決しなければならない問題だという大将の言葉を聞いた透夜は百花を助けられる存在になるため、結婚を申し込んだ。
透夜と過ごす初夜は、お金のために結ばれたとは思えないほど甘く淫靡に愛されて――。
「可愛いな、百花。――早く俺をほしがるようになってくれ」
順調な新婚生活を送るなか、ある日星川食堂に対する悪意のある口コミと書き込んだ相手を知ってしまう百花。
口コミの内容に落ち込み、心配をかけたくないと口をつぐむ百花だったが、そのことに気づいた透夜は溢れる想いを隠すことなく彼女の心から身体まですべてを甘やかした……。
百花は次第に透夜から離れたくないと思い始めていて――!?

【人物紹介】

星川百花(ほしかわ ももか)
星川食堂の一人娘。26歳。
素直で一生懸命な性格をしている。
憧れの透夜との新婚生活は資金援助のためだと思っているのだが……。

国森透夜(くにもり とうや)
郷見総合病院第一外科のドクター、31歳。
穏やかな性格で話しやすいと患者からの評判も高い。
百花に関しては些細な変化にもよく気がつく。

●電子書籍 購入サイト

*取り扱いサイトは、各書店に掲載され次第、更新されます。

 

【試し読み】

「透夜」
「……え?」
「透夜、だ。百花」
 ふと話を遮った透夜の手が、百花の頬をそっと包み込む。そのまま頬を撫でるように、指先が耳の下から顎のラインを優しく辿っていく。ゆったりとした指遣いとじっと様子を窺う視線が求めるものを、時間をかけて理解する。
 百花の名字は先ほど『国森』に変わったのだ。確かに結婚して名字が同一になったのに、今までと同じように彼を名字で、しかも『先生』と呼ぶのはおかしいだろう。
「っ、透夜、さん……」
「そうだ」
 熱の籠った視線に戸惑いつつ名前を呼ぶと、透夜がゆっくりと笑う。けれど頬を撫でる手は百花から離れることはなく、どんどん下へ移動している。
「星川食堂の料理はどれも美味いよ。病院の飯より断然美味い」
「病院のご飯は、ちゃんと栄養バランスを考えて作られてますから」
「患者と違って職員はそこまで厳格じゃないぞ? 調味料はかけ放題だし、どこの休憩室にもデザートやカップ麺の自販機が置いてあるしな」
 透夜があっさりと自分の職場の食事より食堂の料理のほうがいい、と口にする。百花はすぐにフォローしたが、彼はそれも笑い飛ばした。相対的に食堂の料理を褒めているのではなく、本心から美味しいと思っている、と言いたいのだろう。百花はその何気ない言葉に、密かに喜びを覚えた。
「あの、先せ……透夜さん」
「ん?」
 そんな雑談に意識がそれているうちに、ベッドに上がってきた透夜が部屋の照明を落としてしまう。百花が透夜の行動の意味を確認する前に、肩を抱かれてシーツの上に身体を押し倒される。
「えっ……透夜さ……?」
「夫婦になったからな。一緒に寝るのは当然だろ」
「あの……でも、手が……」
「こうやって触れ合うのもあたり前」
 一緒に寝るだけではない。スピード結婚でも、恋愛感情がなくても、百花と透夜が夫婦になったのは事実だ。ならば彼の視線が求めるように二人が『そういう関係』になるのも、本来は自然なことなのかもしれないけれど。
「……嫌か?」
「え、えっと……」
 透夜に真剣な顔で確認され、つい返答に詰まってしまう。
 もちろん嫌ではない。自分の身体に自信があるわけではないし、透夜を喜ばせる方法を知っているわけでもないが、触れられること自体を拒否したいのではない。
 ただ、夫婦のふれあいは自然なことだとしても、百花はそもそも自分たちがちゃんとした夫婦だと言える自信がない。星川食堂への援助のために結婚したのなら、深い関係になる必要はない気がしてしまうのだ。
「嫌では、ないです。けど……その、する必要があるのかな、って……」
 手の甲で顔を隠し、視線を逸らしながらしどろもどろに返答する。その様子を見下ろしていた透夜が少し驚いたように目を見開いた。
「俺は百花のことを知りたい。百花にも、俺のことを知ってほしいと思ってる」
「……」
 真剣に言い募られ、照れて黙り込んでしまう。しかし透夜は百花の沈黙を別の意味に捉えたらしい。
「百花、セックスの経験は?」
「セッ……!?」
 透夜があまりにもストレートな問いかけをしてくるので、つい過剰反応してしまう。自分でも目がまん丸になっている自覚はあったが、至近距離で見つめ合うと急激な羞恥心に襲われて、驚いている場合ではなくなった。
「なっ、ない……です」
「そうか。よかった」
 透夜が安堵したようにそっと微笑む。
「大丈夫だ、怖がらなくてもちゃんと気持ちよくしてやるから」
 透夜の言葉に背中がぞくりと痺れる。食堂で定食を頬張るときとは違う妖艶な微笑みに、静電気とも悪寒とも違う、背骨に沿って熱の塊で肌を撫でられているような不思議な感覚が走り抜ける。百花が言いたいのはそういうことではなかったが、疑問の答えと熱い感覚の正体を知る前に、覆いかぶさってきた透夜にそっと唇を奪われた。
 ちゅ、と小さな音を立てて触れ合うだけのキスを一度。それから一瞬離れて表情を確認されると、同じような口付けを何度も繰り返してくる。
「っん、っ……ぁ」
 優しいキスは徐々に大胆に変化し、いつの間にか唇を強く吸われて開いた隙間から舌を挿し込まれている。所在なさげに引っ込んだ百花の舌に熱と唾液が絡み、同じ場所を食むように、ちゅ、ちゅる、と吸い上げられる。
 可愛らしいキスしか想像していなかった百花には、息継ぎの仕方などわからない。ぼうっとする頭で、透夜の激しい口付けを受け続ける。
「んぅ……ふ、っぁ……」
 舌の表面同士を擦り合わせられるたびに、唇の隙間から濡れた音が溢れて響く。キスの音に反応して、足の付け根がぴくっと反応する。透夜の舌に口の中を撫でられる甘さが心地良く、縋るように彼のシャツを握りしめてもぞもぞと身体を動かした。
「もう感じてるんだな。百花、本当にはじめてか?」
 ふ、と唇を離した透夜が耳の傍でそっと問いかけてくる。想像よりも激しいキスに困惑していることを悟られまいと、
「……そう、です」
 とどうにか呟いて身体の反応を誤魔化す。
 だが処女であることだけではなく、恋愛経験の浅さまで認めてしまったことに気付き、ハッと視線を上げる。すると百花の顔のすぐ横に腕をついた透夜が、嬉しそうに眼を細めて百花の腰をするすると撫で始めた。
「これはパジャマ? 下着?」
「えっと、ルームウェア、です」
「寒くないのか? 触りやすいし脱がせやすそうだから俺は大歓迎だが、身体が冷えそうだ」
「寝るまではパーカーも羽織ってるので……」
「ああ、さっき脱いだやつか」
 透夜の言葉にゆっくりと頷く。百花のルームウェアは薄いパイル生地でできた短めのワンピースだ。ベッドに入るまではふわふわと柔らかい生地で出来たパーカーも羽織っていたが、どちらかというと暑がりの百花なので、就寝時はそれも脱いでしまう。そうするとワンピースとショーツのみの薄着になってしまうが、今まではそれでも構わなかった。けれど今夜からは透夜が隣で眠る。
「確かにこれだけだと色々まずいな」
「ふぁっ……」
 透夜に見苦しいと思われる前にパーカーを羽織るべきだろうかと考える。だが起き上がろうとした百花の行動を阻止するように、薄い生地の上から左胸の頂点をすりすりと撫でられた。
「ん……んっ」
 突然敏感な場所を刺激するような触れ方をされ、思わず甘えるような声が零れてしまう。こんな風に性感帯に触れられた経験のない百花は、驚きや戸惑いと同じぐらい過剰な反応をしてしまう。
 けれど透夜に手を止める気配はない。布越しに乳首を撫でるくすぐったいようなもどかしいような感覚が、次第に熱を帯びた刺激に変わっていく。透夜の細長い指先に撫でられた場所がじん、と痺れる。 
「尖ってきた」
 ぽつ、と呟くと同時に、身体を起こした透夜が両方の乳房を優しく包む。そのまま手のひら全体を動かすようにゆったりと胸を揉まれると、恥ずかしさで顔に熱が集中していく。
「あっ……ゃ、ん」
 火照った顔を透夜から隠すこともできず、されるがままになる。
 胸を揉む動きが徐々に激しくなっていく。胸全体の形を確かめるように強く揉まれ、その合間に胸の上で主張する突起を愛でるように摘ままれる。
「だめ……そこ、さわっちゃ、や……ぁ」
 不規則な刺激を与えられると、百花の思考は熱に浮かされたように霞んでいく。
 背中がシーツから浮く。だめ、と口にしている割に、もっと触ってほしいと強請るように自然と胸が前へ出て、彼の手の動きに合わせて身体も揺れ動いてしまう。
「あ、んっ……や、ぁ……せんせ……!」
「百花?」
「あ……透夜さ……ぁん」
 先生、と口にした瞬間、やや鋭い声で名前を呼ばれた。だから自分がまた間違えてしまったことに気付き、慌てて訂正する。
 しかし思考を奪われているうちに首元のリボンと前のボタンを外され、あっという間に胸が丸見えになるように乱されてしまう。
「ああ……可愛いな」
「だ、だめ……見ないで……っ」
 百花の身体をじっと見下ろした透夜が、ぽつりと感想を口にする。その声を聞いた瞬間にまた顔から火が出そうなほど恥ずかしくなるが、透夜は楽しそうな笑顔を浮かべるだけだ。
 百花の反応を確認した透夜が、剥き出しになった肌に触れてくる。布越しではなく直に胸を包む透夜の手の温度は、百花の予想より高い熱を帯びている。しかしその温かさとは裏腹に、節が骨張った男性らしい手の動きは大胆だ。
「ひぁっ……やぅ……!」
 すっかりと勃ち上がった乳首を左右同時にきゅっと摘ままれ、つい大きな声が零れてしまう。
 慌てて自分の口を押さえようとしたが、動きを察知した透夜に素早く腕を掴まれた。シーツの上に百花の腕を縫い留め、さらに彼の唇が百花の恥ずかしい声を奪う。
「ん……んぅ、……む」
 再び舌同士を絡め合い、百花の温度を確かめるようなねっとりと激しいキスを繰り返す。
 甘い感覚に酔いしれて脱力すると、腕を押さえていた手がするっと離れた。そのまま脇腹に移動した手が、ゆるやかな動きで腰のラインを通過し、ワンピースの裾から中へ滑り込む。
 一瞬、ピク、と身体が反応する。恥ずかしさとくすぐったさが急激に増幅する。照れている間に股の間まで移動した透夜の指が、ショーツの上から窪みの中心をクイッと押し込んだ。
「ふぁ、あっ」
「濡れてるな」
 熱を含んだ掠れた声が、百花の下着の状態を教えてくれる。
「俺とのキスが気持ちいい、触られて嬉しいと悦んでる証拠だ」
「や……っ、そんな……ぁ!」
 さらに詳しい説明を耳にして、ふるるっと身体が震える。すると照れる百花をさらに辱めるように、透夜の爪の先がレースの模様をカリッと引っ掻く。
「あ、ふぁ……ぅん」
 秘部に感じた強い刺激に、また甘い声が出てしまう。本当は官能に誘われて甘えるような声など出したくはない。なのに透夜の指の動きと言葉に操られたように、喉からは高い声ばかり溢れ出てしまう。
 百花は自分の反応を恥ずかしいと思うが、透夜はむしろそれが楽しいようだ。ショーツに施された模様を撫でる動きが、気が付けばどんどん淫らになっていく。
「膨らんできた。俺に触ってほしいって言ってる」
「や……言ってな……」
「ほら、濡れる前に全部脱いでしまえ。直接触ってやるから」
「まっ……ひゃぁ!?」
 制止を口にする前に、両足を持ち上げられてショーツをお尻から引き剥がされる。
 普段は優しい印象の透夜だが、夜は案外強引らしい。戸惑っている間に一気にひん剥かれ、思わず縮こまる百花の太腿をぐいっと左右に割り開く。
 透夜に秘部をじっと見られているだけで十分恥ずかしいのに、困惑している間に開かれた場所を直に触られてしまう。晒した秘部は透夜が言うように本当に濡れていて、彼の指がぬるっと滑った瞬間、このまま逃げ出したくなるほど恥ずかしい気持ちになった。
「っぁあん!」
 しかし百花に照れている暇はない。膨らんできた、と教えられた陰核を指の先でゆるゆると弄られると、あまりの刺激の強さに身体がびくんっと跳ね上がる。
 透夜の指から逃れようと身を捩るが、強い力で組み敷かれた百花がそう簡単に逃れられるはずはない。巧みな指遣いで閉じた花芽を左右へ開かれ、剥き出しになった敏感な場所を下から上へ丁寧に撫でられる。
「ふぅ、っん……ぁあッ」
「可愛いな、百花」
 身体をくねらせて愛撫を回避しようとしたが、無駄だった。最初は優しく陰核を刺激していた指が少しずつ位置を変えていく。濡れた花弁を開き、蜜穴の奥を確認するように敏感な場所を開きながら進んでいく。
 ふと今までよりも水分量の多い音が百花の耳に届いた。その直後、百花の入り口を撫でていた透夜の指がくちゅ、と挿し込まれる。 
「あ、っ……いた……」
「指でもキツいか……」
 透夜の指が撫でるのは蜜穴の入り口付近だ。その指の動きが何を目指しているのかを察知すると、自然と身体が力んでしまう。
 咄嗟に身体を強張らせると反対の手で前髪を撫でられ、額にちゅ、と可愛く口付けられた。
「大丈夫だ、少しずつ慣らしてやる」
「……はい」
 透夜の言葉に素直に顎を引く。本当はまだ怖い気持ちもあったが、彼が優しく丁寧に百花を扱ってくれるので、意図的にひどいことや痛いことをされるわけではないことは理解できている。
 指先が浅い場所を何度も撫でる。ぬぷ、ちゅぷ、と抜き挿しされる度に濡れた音が大きく響き、その音に紛れて少しずつ深い場所へ指先が埋められていく。
「ほら、さっきより濡れてきた」
 蜜口の周囲ばかり撫で続ける透夜の言葉に、こくこくと首を振る。透夜の言う通り音が大きくなってくると、それに合わせるように彼の手の動きもだんだんと速まっていく。
「あ……や、だ……だめ、だめっ……」
 下腹部の奥で奇妙な感覚がじわじわと増大すると、思わずいやいやと首を振る。
 痛くはない。それどころか、下半身をさらけ出して恥ずかしい場所を執拗に撫でられているというのに、もっと触ってほしい、いっぱい撫でてほしい、と不思議な気持ちになってくる。
 だから無意識のうちに発する自らの『だめ』が『触ってはいけない』という意味ではなく『このままではいけない』という意味なのだと自覚する。蜜穴の奥を擦られるたびに腰の内側で増幅する奇妙な感覚がゆっくりとせり上がってきて、やがて突然激しく爆発した。
「あっ、あ、ああっ……!」
 腰がびくんっと強く跳ねる。その直後、秘部がきゅうぅ、と収縮し、強い刺激にすべての意思を奪われる。初めての感覚に身体が震え、びくびくと股の間が痺れる。
「ああ……ぁ、ふぁ……はぁ、……っ」
 水音を立てて引き抜かれた透夜の手が離れていくと、百花の身体からもくったりと力が抜ける。ふわふわと頭が働かない状態で視線を彷徨わせると、身を起こした透夜が顔を覗き込んできた。
「痛かったか?」
「え……いいえ……。大丈夫です」
「そうか、それならよかった」
 脱力する百花に微笑んだ透夜が、ベッドの上に膝立ちになる。肩で息をしながらその姿を眺めていると、透夜が突然、シャツを脱ぎ始めた。
「ふー……暑いな……」
「……っ」
 傍のソファに脱いだ服を放り投げながら呟く声を聞くと、せっかく整いかけていた呼吸が緊張から再び乱れ始める。
 一見細身の割に、つくべきところにはちゃんと筋肉がついている透夜だ。裸体を見るのはこれが初めてだが、こうしてちゃんと観察すると腕だけではなく胸板や腹部にもうっすらと筋肉がついていて、男性らしい体躯であることがわかる。
 だが整った身体よりも、その下に現れた存在が気になってしまう。じろじろと直視することははしたないとわかっているが、そそり立つものの大きさと形に意識が向いてしまう。
「男の身体は見慣れないか?」
「う……はい」
 ドキドキと緊張する百花の膝の裏に腕を入れながら、透夜がそっと尋ねてくる。興味津々のまま素直に顎を引くと、その反応を見た透夜が、ふっと笑みを零した。
「素直だな。百花のそういうところが可愛い」
「かわ……っ」
「可愛いよ。ここも」
「ふぁっ……!?」
 脚をぐっと抱えられ、再度左右へ開かれる。入り口だけではなく股の間まで湿った状態を確かめた透夜が、ふとベッドサイドに手を伸ばした。
 カタン、と音を立てて引き出しの中から何かを取り出す。その指先に小さな正方形の小袋が見えたので、百花は思わず息を飲んで透夜の顔をじっと見つめてしまった。
「百花に負担をかけないよう、最初のうちは着けてする」
 犬歯で端を噛んで小さな袋を開封した透夜が、耳元に唇を近付けて掠れた声でそっと百花を説き伏せる。
「けどこの一箱がなくなったら、あとはもう着けないからな」
「透夜、さ……ん」

タイトルとURLをコピーしました