産業スパイとして嘘をついたら、極上CEOに滴るほど甘く溺愛されてしまいました。

書籍情報

産業スパイとして嘘をついたら、極上CEOに滴るほど甘く溺愛されてしまいました。


著者:乃村寧音
イラスト:園見亜季
発売日:2023年 1月27日
定価:620円+税

叔父の会社に奉仕するため産業スパイとして働きつつ、表向きは真面目な派遣社員である玲奈。
日本有数の音楽機器の会社を経営する叔父の命令で、
玲奈は青山琉斗の経営する会社「コンケントゥス」に入り込む。
困ったことに、なぜか琉斗に気に入られ、秘書の代わりに彼の身近で働くようになり――!?
「……ねえ、キスしたら、怒る?」
彼との距離感に戸惑う一方、知らず知らずのうちに惹かれていって……。

【人物紹介】

早瀬玲奈(はやせ れいな)
表社会では派遣社員として働く25歳。
どちらかというと清楚な感じで話し方も丁寧。
基本的には明るい性格で喜怒哀楽豊かなところも。

青山琉斗(あおやま りゅうと)
音響機器の会社の社長をしており28歳。
世界一のヘッドフォンを開発した、優秀な理系男子。
好きな人には一途な性格。料理上手な一面も。

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【試し読み】

 青山さんが言いたいことはだいたい伝わってる。わたしは大学の寮にいたけど、あっちでは夜に友達とクラブとかにいって彼氏を見つけるのがわりと普通なのだ。別に派手な人じゃなくてもみんな行く。そうじゃないと恋人ができにくいのである。
 クラシック音楽をやってるとかはぜんぜん関係ない。彼氏が欲しければ行く。
 出会いがそんなんだからなのか、セックスしてもちゃんとした恋人になるまではけっこういろいろあるようだ。
 わたしは部外者だったけど、あっちのテレビドラマを語学の勉強かねてよく見ていたのでそのへんの事情はなんとなくわかるのだ。
 ドラマでは『クラブで会ってセックスしちゃったけど、彼の気持ちがわからない』みたいなことをよく言っていた。ヨーロッパの女子はクラブで会った人とすぐセックスするくらいだから男女関係にあっさりしているのかというとそうでもなく、実際のところはけっこううじうじしたりしているのである。
 で、だいたいの場合そういうところに一人で行く人はいない。友達と行く。なのでわたしは全く行ったことがないのだ。
 わたしと同じ部屋だったベルギーからの留学生だった先輩は、いつもロッテをわたしに押し付けては遊びにいっていた。彼女は声楽学科だったけど、大学を卒業したらいったんベルギーに帰って今度はイタリアに行くから、あなたにロッテをまかせると言っていなくなってしまったのだ。面白い人だったけど、
(何してんのかなぁ、今頃)
 そのうちどこかのステージで会ったりするのかもしれない。
「つまんない生活してたんです。日本に来てからのほうがある意味よっぽど波乱万丈です」
「そっか。だいたいわかった。いきなり脱ぎだしたり、やることに突拍子がないのも、要するにそういうことか……」
 琉斗はため息をついていた。
「あの……だからさっきの続き……しません?」
「したいの?」
「はい」
「今度は、おねだり? あーやっぱり、よくわかんない。俺、どうしたらいいわけ……?」
 そう言いながらも、琉斗がわたしを見下ろすように半身を起こした。じっと見つめられると、それだけで下腹部が少し熱くなってくる。
(変な感じ……)
「……俺も、脱ご」
 琉斗はTシャツを脱ぎベッドの下に放り捨てた。
(すごい。めちゃめちゃカッコいい身体だ。毛深くないっていいな)
 欧米では夏になると上半身裸の毛深い男子を見かけることが多かったから、アジア人らしい清潔感のある引き締まった体はすごく魅力的だった。
 そのままぎゅうっと抱きしめられた。素肌が触れ合う。まるで吸い付いてしまうみたい──。うっとりしながら琉斗の背中に手を回すと、わたしの丸い胸がペタンと琉斗の胸板に押しつぶされた。
(好き……)
 素肌が触れ合うだけでこんなに安心して、幸せな気分になれるって知らなかった。変な感想かもしれないけど、やっぱりこれじゃドイツの女の子たちも『クラブで会ってワンナイトしたけど、彼の気持ちがわからない』とドラマの中で嘆くはずだ。この感情をくだらないというやつは、素肌が触れ合うすごさを知らないのだ。
(わたしも、知らなかった……)
「やばい、興奮する」
 琉斗が耳元で囁き、そのまま耳たぶを唇で挟んでペロリと舐めた。
「んっ、あ、あぁ……」
 経験もないのに、自然に甘い声が喉から漏れてしまう。塞ぐようにキスされ、閉じ気味のわたしの口を開かせるために、顎を軽く指で下げられた。強制的に開いてしまった口中に、琉斗の舌が半ば強引に入り込んでくる。
「んぅっ……う、う……んっ……」
 わたしの中を強引に味見されてる感じ。気持ちよくて真っ白になりそう。でも、あっというまにいろんな場所をこじあけられてしまいそうで、少し怖い……。
「胸、想像より大きかったんだね……おまけにすごくきれいで」
 唇が離れたと思ったら、左胸を手のひらで包むみたいにされた。痛くはないけど、急所を掴まれた感じで体の奥がぎゅっとする。その感覚がなぜか甘い。
「あ……」
「ん? やば。立ってるじゃん、乳首」
 指先でさらっと撫でられただけで、体がびくんと震え、腰が浮いた。
(どうしよう。すっごく気持ちいい)
「こんなにきれいで、しかも、敏感なんだ。うーん、俺ほんとヤバいかも」
 琉斗が胸に舌を這わせる。周囲を舐め回されると、ここにあるんだけど、と言わんばかりに屹立した乳首がさらにジンジンと凝り固まってくる感じがする。
「あ、あぁぁん」
 琉斗は焦らすみたいに乳輪を丁寧に舐めている。なかなか中心に来ない。
(あ、な、なんか、出てる、絶対出てる)
 わたしはまだペチコートもストッキングもショーツも身に着けたままなのに、下腹の奥で熱くなりどろどろに溶け始めた何かがしだいに降りてきて、ショーツまで染みているのだった。
(さっき、脱いでおけばよかった)
 そう思っていたら琉斗の手がペチコートに伸びて脱がされ、ストッキングも脱がされた。その状態でわたしは両脚を広げられて……琉斗を両脚で挟んでいるような状態。
「あっ、んぁぁっ……」
 一瞬胸から離れていた琉斗の唇がもう一度戻ってきた。
「ほんと、大きいな」
 下乳から片手で持ち上げるようにされて、再び舐め回される。ぎちぎちに勃ってしまっている乳首の先端を避けるみたいに、乳輪の皺を丁寧になぞる感じで。
「んっ…は、はぁ、あ……」
 いくら我慢しても体の奥からじわじわとした快感がこみあげてくる。こんなことは初めてで、どうしたらいいかわからない。夢中で喘いでいると、先端に吸い付かれた。
「あ、あぁぁぁっ」
 どぷっ……
 身体の奥から何かが流れ出たとわかる。堪らず、のけぞって足をバタつかせてしまった。
 びりっとした電流みたいな快感が体の奥まで一瞬で抜ける。そしてその通り道がずっとじわじわと熱い。
「ああんっ、あ、あ、もっとぉ……」
「どうしてそう可愛い声出すかなぁ……」
 ゆっくりと両方の乳首を舐りながら、琉斗が囁く。
「あ、あ……」
 意識が快楽へと引っ張り込まれる感じ。何度も沈みそうになりながら、何度も水面に上がるような。
 琉斗の手が太腿の内側に伸び、数回撫で、これまで誰にも触れられたことのない部分にも指先が伸びてきた。
「うわ、びしょびしょになってる。ぐっしょり濡れてるよ」
「だって……」
 こんなの恥ずかしい。でも、自分ではどうしようもない。
 つーっと、ショーツの上から割れ目の部分をなぞられた。一番敏感な箇所に一瞬当たり、それだけでビクビクっと体が震える。
「ふ、あ、あぁ……」
「溢れてきてるね。すごい……」
 琉斗の指の動きが止まった。
「や……琉斗ぉ……もっと撫でて……」
「ん……」
 ショーツの上から繰り返し撫でられていると、どんどん奥の方まで熱くなっていくのがわかる。わたしは知らず知らずのうちに、琉斗の指先に腰を上げて押し付けていた。
(だって気持ちいいんだもん。我慢できないよ)
「ねえ、脱がせて、直接触ってよ」
 恥ずかしかったけど、思わず言ってしまった。
「それはやばいよ。俺も我慢できなくなるよ」
「なんで我慢するの?」
「だって初めてなんだろ? もうちょっと時間をかけて……。やるとしても今日じゃなくていいと思う」
「だってわたしをこんな風にしたの、琉斗だよ」
 わたしは琉斗の首に腕を回してぎゅっと抱きついた。琉斗もぎゅっと抱きしめ返してくれた。
「いいの? ほんとに。……初めてなのに」
「うん」
 頷いた。
 確かに初めてだけど、「初めて」はどうせいつか訪れるものだ。それに、正直に言えば。
 素敵だと思った人ととこういう風になって、しかもそれがめちゃくちゃ気持ちよくて。だったらこのまま、わたしは「初めて」を迎えてしまいたい。このままこの感覚に没頭して、溶けてしまいたい。
(今この瞬間に生きているんだから。今気持ちいいことをしたほうがいいよね)
 データを持ち出す前に見つかって良かったのかも。だって、ほんのわずかでも、『コンケントゥス』に損害を与えるのは嫌だもの。康弘叔父さんとも、今じゃなくてもいつかこんな風になってしまったと思う。そして琉斗には、わたしの初めての人になってもらえばいい。もう二度と、会えなくても……。
「お願い。して……」
 小さく言うと、キスされた。少し慣れてきて、舌を絡ませることもできるようになってきた。さっきよりも琉斗の手指が力強くなった気がする。
「じゃ、抱く……」
 ショーツはすぐに脱がされた。ぐしょぐしょに濡れたソコに琉斗の指先が触れる。
「いっぱい出てたんだね、すごいよ、溢れてる」
「そうなの?」
 琉斗は女の人をたぶんたくさん知っているから、色んな人とわたしを比べているのかもしれない。
(わたし、いっぱい濡れるほうなのかな?)
 琉斗が花びらを広げて内側に指を一本差し入れる。蜜壺からぬぷ、ぐちゅ、と水音がする。たぶん、わたしのねっとりとした蜜が琉斗の指先に絡みついてる。
「あっ……」
 そのうちに指が二本に増え──あふれ出る蜜で一番敏感な花芯を濡らし、優しく刺激しつつ……さらに琉斗の指が蜜壺を出たり入ったり、抽挿を繰り返した。
「んぁっ、あ、あぁぁぁ」
 花芯を刺激されると、我慢しようとしても声が出て、体が痙攣してしまう。軽い絶頂に達するたび、どぷんと蜜があふれ出るので、蜜壺の中を動き回る指に痛みを感じることもなかった。
(なんか変な感じだけど……なんだろう……体の中にも気持ちいい部分って、あったんだ……)
 指が入っているので異物感は感じるけれど、それよりも、中が良くなっていくスピードのほうが少し早い感じ。
(変だけど……気持ちいい……気持ちいいけど……変な感じ……)
 蜜壺に指を入れられたことなどないし、中に入れたことのあるものは、せいぜいタンポンくらいで……。
 内側をこんな風に撫でたり探られたりすることが、気持ちいいなんて全然知らなかった。
「ぐっしょりだけど、さすがに狭いな。処女だから当たり前か。もう少し広がるといいけど。いっぱい濡れないと痛いから、もっともっと気持ちよくしてあげる」
 琉斗がそんな風に言った。
(もっと気持ちいいって、そんなのあるのかな)
 わたしにしてみれば、もう十分気持ちよくて、ずっとそれが続いている感じ。そう思っていたら、琉斗の頭がわたしの下半身のほうへと降りていき、指とは違う生温かい何かが蜜口を這うのを感じた。
「あ、ああっ……。だめぇ、そんなとこ、汚い……」
 琉斗がわたしのアソコに顔をうずめている。気持ちよさと恥ずかしさが同時に頭の方まで突き抜けるようだった。
「汚くなんかないよ。甘くておいしいよ」
「そんなこと……」
 息が吹きかけられるたび、舌が這いまわるたび、唇が動くたびに、敏感な花芯に細かい震えと快感が同時に走る。頭の後ろが重くなり、息があがってきた。
「あ、あ、あぁぁ……はうっ、あ、うぅっ……」
 思わず頭を横に振ってしまう。気持ちいい。どんどん気持ちよくなってしまうのが怖いくらいに。
 奥からはどっと蜜が溢れ出して、お尻のあたりまで垂れているのを感じる。そんな恥ずかしいところを琉斗にさらけだし、舐められているという事実……。
 指も差し込まれた。二本の指で中を弄られ、花芯の周囲が舌で刺激される。噴き出しそうな快楽で、我を忘れそうになった。じわじわと攻め込まれるような感覚……そして花芯をこれでもかと舐られて……。
「ふぁ、ああ、ん、あ、あ、ああーっ」
 どぷっ、とかなり多くの蜜が吐き出された。
 達しているのに、さらに愛撫が続く。唇が蜜壺に埋まったかと思うと、尖った舌で内側の壁を擦られた。わたしは泣き声をあげながら仰け反り、見悶えた。
「やぁっ、あ、あ、あ、ん……もう、許して」
「……それはもう、無理かなぁ」
 琉斗の声がするけど、わたしは波にのまれたような状態で──。意識が消えたのはたぶん一瞬なのだけど、ふと気がついたら琉斗が避妊具をつけていた。
「そろそろ、良さそうだ。これでも痛い可能性はあるけど」
 両脚を押し開かれる。
(えっ……)
 とうとう挿入されるのだと気がつき、緊張した。蜜壺はすっかり蕩けているけど、猛っているそれはとても大きく、
(こんなもの入るのかな? まさか、裂けたりする?)
 不安になってしまった。
 熱い切っ先を押し当てられると、ぐしょぐしょになっているおかげで入り口まではスムーズに入った。
「あのさ」
「……はい」
「たぶん、一気にいったほうがいいんだ。これまでの経験だと」
「……そうなんですね」
「任せてくれる?」
「はい」
 頷くと、押し込まれた。
「あ、あああ」
 指とは全く違う太いものが膣壁をぐいぐいと押し広げ奥まで入ってくる。
「力抜いて」
 そう言われても、どうしても入ってしまう。
「い、痛ぁ! ああ、いやっ、痛いっ」
 目の中がかぁっと赤くなった。息もできないくらい痛い。
 キスされた。そのキスはとても優しかったけど、さらに押し込まれ、わたしは悲鳴をあげた。
「痛い! 助けて……」
「深呼吸して」
 頭を撫でられながら、必死に何度も深呼吸した。今、わたしの最奥に琉斗が入ってきていて、完全に結合したのだ──とわかった。
 身体の中にある熱い塊を、わたしがぴたりと包んでいる。
(わたし、袋だったのかな? それとも、空洞?)
 初めての感覚に、まるであぶくのように頭に浮かぶ何かがするすると抜け落ちていく。
(……そんなに、痛くないみたい)
 まるで琉斗を歓迎するかのように、じわじわと蜜が膣壁から染み出ている気がした。琉斗の熱い先端がわたしの最奥に触れていて、その感覚はただ気持ちいというよりは、なんだかとても幸せな感じさえした。
「大丈夫?」
 頷くと、琉斗がゆっくり動き出した。次第に体が慣れていく。琉斗から与えられるキスや愛撫を受け入れながら、静かに自分を失っていく。
(あ……なんだろ……中の気持ちいいところが……)
 指で触られて、なんだか変な感じがしたところや、もう少し奥の別の場所も……。刺激されるたびにぐじゅっと音をたて蜜があふれるような快感に変わっていく。
 喘いでいると乳首を唇で愛撫されて、気持ちよさでお腹の奥がぎゅっと縮んだ感じがした。
「こら。締めちゃだめだよ。俺がどんどん我慢できなくなっちゃうだろ」
「そう……なの? よくわかんない……。体が勝手に……」
 計算してやっていることじゃないから、抑えようもない。
 わたしが慣れていくにつれて、琉斗の動きも早くなっていく。
「あ、あぁっ、なんか、変になっちゃう、あ、あ、あぁん……」
 琉斗の背中に手を回し、縋りつく。
「すごいな。中がうねって俺に絡みついてる。ねえ、本当に意識してないの?」
 そんなのわからない。今わかるのは、奥まで入れられて腰ごと揺すられると、花芯が同時に刺激されて気持ちいいんだ……ということくらい。
「あ、あ、あ」
 短い呼吸をしながら上り詰めていく。頭をのけぞらせながら深くつながり、腰を押し付けた。
「ごめんそろそろ、出る。俺、いきそうだ」
 琉斗の声もどこか切羽詰まっていた。体はどんどん高まり、絶頂へと向かっている。何度も奥を打たれ、そして──。
「ああぁぁぁぁ」
「……くっ」
 琉斗がわたしの最奥に熱を放ったのがわかった。すべてを出し切るように、切なげな声が漏れる。男の人のそんな姿を見ることももちろん初めてだ。
 そしてその温かみがわたしの中に広がり……わたしはぐったりと目を閉じた。

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