
私たち、婚約破棄をしたはずです! 〜元婚約者の御曹司が予想外にグイグイ迫ってきます!?〜
著者:田沢みん
イラスト:小島きいち
発売日:2025年 11月21日
定価:760円+税
西尾彩芽は『西尾製薬株式会社』の社長令嬢。
高校生の時に『獅子谷グループ』の御曹司である獅子谷勇心の婚約者となった。
薬学部に行きたいと望む彩芽を一人の人間として尊重してくれる勇心に彼女は恋心を募らせていくのだが……。
薬剤師国家試験の合格と薬学部卒業を期に、彩芽は勇心に婚約解消を申し出ることに。
勇心には、本当に好きな女性がいると知ってしまったからだ。
最後に抱いてほしいと彩芽が勇心にわがままを告げると……。
「そうだ、俺の形も感覚も忘れないで。頼むからしっかり覚えていてほしい」
彼の淫靡な愛撫で全身を激しく貫かれてしまうーー……。
ーーしかし二年後、ドラッグストアで働く彩芽の前に勇心が突然現れて!?
別れたはずなのに、なぜか想像を絶する甘さでぐいぐい迫られてしまう……!!
【人物紹介】
西尾彩芽(にしお あやめ)
『西尾製薬株式会社』の社長令嬢で才色兼備。26歳。
高校生の時に勇心の婚約者になる。
長年の片思いに終止符を打ち、勇心に婚約破棄を申し出ることに。
獅子谷勇心(ししたに ゆうしん)
『獅子谷グループ』の御曹司で次期CEO。29歳。
歯に衣着せぬ発言が多く行動的だが、恋愛面では慎重な一面も。
彩芽の覚悟を受け入れたものの、未練は残っているらしく……?
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*取り扱いサイトは、各書店に掲載され次第、更新されます。
【試し読み】
「――勇心さん、別れてください」
そう告げた私に勇心さんが大きく目を見開いて固まった。右手の箸も止まったままだ。
――そうか、この人も一応動揺くらいはしてくれるんだ。
私より五歳年上の野心家で、大抵のことでは動じないような大人の男性。
この人が私の言動で多少なりとも心を動かしてくれている。たったそれだけのことが私を浮つかせた。
――たとえ私の求める感情とは違っているとしても。
この期に及んでそんなことを考えてしまうのは、惚れた弱みというやつなのだろう。
ぐらつきかけた気持ちをどうにか立て直し、私は彼をまっすぐに見据えた。
心臓がバクバクと音を立て、喉が張り付いたみたいに引き攣る。今ならまだ引き返せるぞと頭の片隅でもう一人の自分が叫ぶ。
けれどもう、今のままではいられない。これは散々考えた末に自分で決めたことなのだ。
――あなたを自由にしてあげる術が他に見当たらないから。これが唯一、あなたのためにできることだから。
そう思っているのに決意がブレる。
――お願い、嫌だと言って!
――もしもあなたが一緒にいたいと言ってくれたら、私は……。
「……わかった」
テーブルの向こう側で勇心さんが頷いた。
――ああ、やっぱり。
私の期待も虚しく現実は冷淡で。彼は理由も聞かずにあっさりと了承した。
こうなることなどわかっていたのに一縷の望みにかけようだなんて大馬鹿者だ。
後悔したってもう遅い。試すようなことをした私の自業自得なのだから。
彼が大きくため息をついてから問いかける。
「一つだけ聞かせてほしい。君はいつから別れたいと思っていた? 出会った最初から? それとも同棲してから?」
「それは……」
言ってしまっていいのだろうか。本当は別れたくなどないのだと。あなたの気持ちを知ってしまった今でさえ、隣にいさせてほしいと思っているのだ……と。
けれど私はあの日、勇心さんの本心を知ってしまったし、知らないフリでこの人の自由を奪えるほどの厚顔さも持ち合わせてはいないのだ。
だって私は勇心さんに幸せになってほしいから。それほど好きになってしまっているから。
「……そんなことを聞いても意味がないですよ。どうせ結果は変わらないですし」
私は唾をゴクリと飲み込んで、一世一代の勇気を振り絞った。
「勇心さん、私を抱いてくれませんか?」
「……は?」
よほど予想外だったのだろう。私の申し出に勇心さんはまたもや驚愕の表情を浮かべる。いや、驚くというよりも呆れ返っているのかもしれない。口を半開きにしたまま目をぱちくりさせている。
しかし、しばらくすると顔がどんどん険しくなり、その目に怒りの表情が浮かび上がった。
「君は……何を言ってるんだ」
「何って、そのままです」
同棲してからの八ヶ月、頭の中でぐるぐると考え続けていた。どうしたら愛してもらえるのだろう、どうしたら彼を自由にしてあげられるのだろう。
――結局愛してもらうことは叶わなかったけれど……。
それでも勇心さんを自由にしてあげることなら私にもできる。
私から告げる決別は、九年間もの長いあいだ彼を縛り付けていたことへのせめてもの贖罪、そして婚約者でい続けてくれていたことへの恩返しだ。
――だから絶対に後悔なんてしない。
けれど最後に一つだけ、大きなわがままを許してほしい。私はあなたとの思い出があればこの先一人でも生きていけると思うから。
だから……。
「最後に抱いてください」
「別れるのに?」
「別れるからです。半年以上も同棲までしておいて処女のままでいるのは変ですし、一度経験してみたいと思っていたので」
ことさら軽い口調で言い放つと、勇心さんの顔がますます強張っていく。心を覗き込むかのように、こちらをじっと見つめてくる。
私は唇の震えを気づかれないように、口を真一文字にキュッと引き結んだ。
「変とか、そういう問題じゃないだろう」
彼のいつもより低い声音にたじろぎそうになったけれど、私は自分を奮い立たせて言葉を続ける。
「ごめんなさい、本当はあなたと結婚する気なんてなかったんです。勇心さんを利用する形になってしまったことは申し訳ないですが、おかげで薬剤師の資格を取ることができました」
だからアメリカには一緒に行かないし、家庭に入るよりも一人で自由気ままに暮らしてみたい。これからは家を出て働くつもりだ……と用意していた返答を語ってみせた。
「勇心さんへのお礼の気持ちと……最後の思い出作りだと思って、どうですか?」
一気に言い連ねてから口を噤む。広いLDKに沈黙が落ちた。
勇心さんがゆっくりと目を閉じる。しばらくそのまま何かを考えていたようだけど、次に目をひらいたときには迷いの表情が消えていた。
「……わかったよ。お望みどおり、今から君を抱こう」
言うが早いか立ち上がり、こちらにテーブルをまわり込んできた。私の手首を掴んで立たせると、そのまま痛いほどの力で奥のメインベッドルームへと引っ張っていく。
十六帖の部屋には大きなキングサイズベッドが鎮座しているが、未だ未使用なままだ。
勇心さんは八帖の洋間で寝起きしているし、私には十帖の自室を与えられている。
彼から誘われたことがないのでベッドを共にしたこともなかった。
――勇心さんが私に興味がなかったから。
同棲初日の夜こそ彼が呼びにくるのではないかと緊張していたものだけど、三日もすれば諦めに変わる。親から充てがわれた婚約者の私をそういう対象に見ることができなかった……ううん、本当に好きな女性に操を立てていたのかもしれない。
だから一緒に住みながらも彼は私の身体に触れようとはしなかったし、『同棲』と言いつつ実際にはただの『同居人』でしかなかったのだ。
「きゃっ!」
乱暴にベッドに倒されて、白いシーツの下でスプリングがギシッとしなる。
ベッドサイドで勇心さんが立ったまま私を見下ろしてくる。視線を逸らさずじっと睨みつけながら、パジャマ代わりのスウェットと下着を勢いよく脱ぎ捨てた。
カーテンの隙間から射し込む月光が彼の裸体を照らし出す。
熱い胸板と見事に割れた腹筋。野生みの溢れる肉体に勇心さんが大人の男性なのだと改めて思い知らされる。
視線を下へと移すと、彼の分身が鎌首をもたげるように勃っていた。太くて長いソレは、己の立派さを誇るかのように時折ピクピクと揺れている。
私の視線に気付いたのだろう、勇心さんが「怖気づいたのか?」と口角を上げてみせた。
「できます」
私はふるりと首を横に振る。
一度でいいから勇心さんに抱かれたかった。彼との思い出がほしかった。だから後悔なんてしない。
――彼が私を愛していなくたっていい。一時の欲情だって構わない。それでも初めては彼にと決めていたから……。
「怖くなんてないです。私が望んだことなので」
勇気を振り絞ってまっすぐに見つめ返すと、彼が目をすがめて真顔になる。
「くそ……っ!」
「あっ!」
ベッドに上がった彼がワンピースのファスナーに手をかける。慣れた手つきで全裸に剥くと、私に覆い被さってきた。
片手でいともたやすく私の両手首を掴み、頭上でシーツに縫い留める。
「最後の思い出作りなんだろう? お望みどおり一生忘れられない記憶を刻みつけてやる。君の心にも身体にも」
勇心さんが首筋に顔を近づけた。その直後、ガリッと肉が食い込む感覚と共に鋭い痛みが私を襲う。そこでようやく彼が噛み付いたのだと気づく。
ジンとした熱を伴う痛みを気にする間もなく、今度は両方の胸を鷲掴まれた。私がいつも見惚れていた長くて美しい指を乳房に深く食い込ませ、乱暴に揉み上げてくる。
――痛……っ!
素肌を男性に晒すのも初めてなら、直接触れられるのも初めてのことだ。
本来であれば神聖で尊い行為であるはずのものが、こんなにも荒々しく心のないものだなんて。痛くて情けなくて涙がこぼれそうになる。
けれどこれは私自身が望んだこと。悲しむ資格などありはしない。
唇を噛んで堪えていると、強い刺激が私を襲ってきた。勇心さんが乳房を口に含んだのだ。
彼の生温かい口内に私の胸が吸い上げられる。さっきまでの痛みが去って、代わりにゾクゾクとした刺激が湧いてくる。先端を舌で転がし舐められると、触れられていないはずの下半身が疼きだす。
「ん……っ」
彼が水音を立てながらピンクに色づく周囲を舐めまわす。舌先で輪郭をなぞられるたびにピクンと背中を反らしてしまう。まるで微量の電気が流れているみたいだ。
今度は反対側も同じように口に含む。肉厚な舌で胸の飾りを舐めては転がすを繰り返し、同時にもう一方の乳房を大きな手のひらで包み込む。
先端をキュッと指で摘まれた途端、「あんっ!」と鼻にかかった声が出た。
やけに甘ったるい自分の声音に驚愕し、思わず両手で口を押さえる。すかさずその手をどけられた。
「声を隠さないで」
「でも、恥ずかし……」
「君が感じている声だ、もっと聞かせてほしい」
懇願するような物言いに私の胸が甘く疼く。
こんなふうに勇心さんに何かを強請られるのは初めてのことだ。いつも自信に溢れて堂々としている大人の男性で。最後まで慈悲と同情を私に与えてくれていた。
そんな彼が求めてくれているのがとても嬉しい。
――素直になってもいいのかな。
どうせ今日一度きりのこと。格好をつけたり遠慮をしたりすることなど無意味なのかもしれない。
だったら今この時間だけは自分の気持ちに従って、ありのままの自分を曝け出してもいいんじゃないだろうか。
勇心さんは私に一生忘れられない記憶を刻みつけると言っていた。
だったら私も刻みたい。彼の心と身体に一生涯忘れられない思い出を。
――うん、自分に正直になろう、今だけは。
覚悟を決めてしまえば私の身体は正直で。
「勇心さん、気持ちい……っ」
「彩芽……」
勇心さんが胸への愛撫を再開する。両方の胸を交互にしゃぶったり甘噛みしたりを繰り返す。そのたびに痺れが走って私は胸をのけ反らせた。
彼から与えられる快感に素直に身を委ね、淫らな声をあげ続ける。
「あっ、ん……っ……あんっ」
勇心さんの顔が胸から離れ、唇で身体のカーブをなぞりながら下へ下へと降りていく。
薄い繁みに辿り着いたところで彼がいきなり上体を起こす。
――あっ!
次の瞬間、グイと両脚をひらかれて、中心に彼が顔を寄せるのが見えた。
「やっ、そんなところ、見ないで!」
大きくひらいたソコを凝視され、私の全身が羞恥に染まる。
いくら覚悟を決めたとはいえ、こんなところを至近距離から見られるなんてありえない。慌てて脚を閉じようとするも、逞しい両手の力で阻まれた。
「見るに決まってるだろう。君が望んだ行為にはこういうことも含まれているんだから。何を今さら……」
ピチャと湿った音がして、彼に割れ目を舐められた。生温かい舌が下から上へと繰り返し移動する。そのたびにえも言われぬ快感がジワリジワリと湧いてくる。
「あっ、やっ、こんなの駄目……っ」
なんて説得力のない『駄目』だろう。首を左右に振りながら、自然に腰を浮かせてしまう。恥ずかしくて仕方がないことをされているはずなのに、もっと、もっとと脳内で自分の声が響き渡る。
「やだっ、あっ、あんっ……」
「こんなに溢れさせておいて嫌だとか……ずいぶん勝手だな」
「だって……っ」
生ぬるい息が秘部にかかるだけで感じてしまう。お腹の奥が熱くなり、さざなみのような快感が隘路を伝いだす。
くすぐったいような焦ったいような……。
「やっ、あっ、何か変っ」
「ああ、感じてるんだ。凄いな、どんどん溢れてきた」
ジュルジュルと大きな音を立てて啜ったあとで、勇心さんが愛液を指に纏う。
そのまま指の腹で小さな蕾を撫で始めた。
「ああっ!」
ビリッ! と静電気みたいな刺激があって、思わず大きな声が出た。彼はそれに構うことなくクルクルと蕾の表面を丸く撫で続ける。
苦しいはずなのに気持ちいい。脚を閉じたいけれど触れてほしい。相反する感情に混乱したまま私はひたすら首を左右に振って嬌声を上げた。
「あっ、やぁっ、駄目ぇ!」
「凄いな、ぷっくり膨らんできた。ここも舐めるよ」
――えっ!?
言葉の意味を咀嚼する前に、彼の唇で蕾が挟まれる。
チュパチュパと吸ったり舌先でフルフルと揺らされるたびに自分のソコが固く勃ち上がっているのが見ずとも感じられた。
飴玉みたいに転がされると、あまりの気持ちよさに何度も腰が跳ねた。お腹の奥で生まれたさざなみが大きく波打ち始める。
「やっ、勇心さん、何かクる……来ちゃう……」
「いいよ、イって」
彼の言葉と共に何かが蜜口から挿し入れられた。それが彼の指だと気づいた瞬間、勢いよく抽送が開始される。
――えっ、嘘っ!
こんなところを舐められるのも初めてならば、ナカに触れられるのも初めてのことだ。
物凄い異物感と羞恥心。なのに内壁を猛スピードで擦られているうちに内側から再び潤ってきた。グチョグチョという粘着質な音と共に身体が快感を拾い始める。
それはあっという間に大波となって、出口めがけて勢いを増した。
「あっ、ああっ……ああーーっ!」
目の前で光が瞬き快感が弾ける。
腰から頭のてっぺんに向かって稲妻みたいな衝撃が突き抜けた。
「あ……っ、イく……っ!」
パンッ! と閃光が走った直後、私は生まれて初めての絶頂を知ったのだった。
「もう……駄目っ」
全身から力を抜いて肩で大きく息をした。呼吸が落ち着いてくるにつれ、徐々に羞恥が湧き上がる。
異性に身体を触られ乱れてしまった。好きな人が相手とはいえ、なんと恥ずかしく背徳めいた行為なのだろう。そしてなんと気持ちがいいことなのか。
――私は勇心さんの手と口でイったんだ。
ぐったりしながら薄く目を開けると、上体を起こした勇心さんが私をじっと見下ろしていた。
「彩芽、まだだ」
「……まだ?」
「ああ、これを挿れるから」
彼が己の屹立を片手で握りしめた。太くて長くて立派なソレは、さっき見たときよりも明らかに大きくなっている。
先端から透明な汁を滲ませながら、更に雄々しく反り返っていて……。
――こんなモノが……私のナカに!?
そんなの無理だ、無理に決まっている。
どう見ても不釣り合いなサイズ感に動揺しているうちに、彼の漲りがぴたりと蜜口に充てがわれる。
「このまま孕めばいい」
――えっ!?
次の瞬間、硬い先端が私の身体を貫いた。


