隠れ肉食御曹司の溺愛エロス 〜一途な欲望に甘く抱かれて〜

書籍情報

隠れ肉食御曹司の溺愛エロス 〜一途な欲望に甘く抱かれて〜

文具メーカーの営業3課課長の眞希は、今日も今日とて他の課長からの嫌味に耐えていた……。
周囲に怖いと誤解されている眞希は、他社員からの風当たりが強く、唯一の味方は部下の一人である三上だけ。
しかし、会社の人気者である三上が眞希の味方をすることで、眞希の会社での立場はさらに悪くなるという負のスパイラル。
そんな状況に耐えかねた眞希は、とうとう三上に自分から離れるように言ってしまうが、逆に彼から告白されてしまい!?
「眞希さん……ちゃんと、僕を見てください」
その日から始まった三上の猛アピールは、これまでの彼とは違い強引で……しかし、眞希はそんな三上にどんどん惹かれていく自分に気づいて――。

【人物紹介】

利田眞希(としだまき)
老舗文具メーカーで営業部第三課の課長として働いている。
意外と小心者で苦労人だが、周囲にはなかなか気づいてもらえない。意志が強く努力家。
気が強そうな外見から、近寄りがたい厳しい人間だと誤解されている。

三上成一(みかみせいいち)
周りへの気配りや仲間へのフォローはかかさない、将来有望な営業部のエース。
男性らしく恰好いいが、笑顔になると温かな癒やし系というギャップから、女性に人気がある。
眞希と社員達の間に立って場を取りなしていることで、一部の営業からは『利田の腰巾着』、『利田のツバメ』などと言われている。



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【試し読み】

「眞希さん、そんなに僕は嫌ですか?」
 傷ついた顔。そんな表情をさせたかったんじゃない。私まで悲しくなってしまう。
「い、嫌とか、そういう話じゃないの。なにもかもいきなりすぎるし、段取りとかまったく無視じゃない。普通は、手を出す前におつきあいから始めるものでしょ」
「では聞きますが、僕があなたを好きだと言った時、あなたはどう答えたか、覚えていますか?」
 真剣な面持ちで、三上くんが尋ねる。
 確かにさっき、彼は私を好きだと言った。その時、私はなんと答えたっけ。
 三上くんは僅かに目を伏せると、私を強く睨んだ。
「ひたすら驚いていたんですよ、あなたは。そして、僕の気持ちを『嘘』だと言った。僕の気持ちをなにひとつ理解しようとしてくれなかった。……それはなぜか、答えは決まっています」
 私の手首を掴む彼の手が、強くなる。少し、痛い。
「僕があなたより年下である限り、あなたは僕を恋愛対象に入れてくれない。だから嘘だと言った。信じてくれなかった。単なる気の迷いだと、切って捨てたんです」
 その時の気持ちが、自分の絶望が、あなたにわかるのか――。
 三上くんは傷ついた顔をして、私を悲しく睨みつける。
「だから僕は決めた。あなたには何がなんでも理解してもらう。その方法が間違っていたとしても、あなたに憎まれようとも、構わない」
 頬に触れた手は、ゆるりと下に降りて、首を撫でる。ふるりと私の体が震えた。
「その身体で確かめてください。わかってください。……僕の、気持ちを」
 柔らかに触れる唇は、その冷徹な言葉に反して、やっぱり優しい。
 これは、もしかしたら三上くんの気持ちなのだろうか。
 私に対する感情。それがキスを通して伝わってくるみたい。
 だめ、絆されちゃいけない。私は上司だし、年上だ。無理矢理するなんて間違ってる。私はたしなめなければならない立場なんだから、気をしっかり持たなきゃ。
 そう思っているのに、また身体が言うことを聞いてくれない。唇は熱を帯びたように熱くなって、身体までぽかぽかと火照ってくる。
 三上くん、そこまで思い詰めるほど、私のことを好きになってくれていたの?
 嬉しいような、恥ずかしいような、でもやっぱり、驚きが大きい。
 だって私には、何の魅力もない。会社では顔が怖いと陰口を叩かれているし、実際に相貌の雰囲気はきつい。多くの男性が求めるような柔和で優しい顔立ちではないのは誰よりも私自身が自覚している。
 だから、三上くんに告白されて驚いたのだ。なんの魅力もない私のどこに惚れたのだろう。
「眞希さん……ちゃんと、僕を見てください」
 ふ、と我に返る。
 いつの間にか、考え込んでいたみたいだ。三上くんが静かな声で私の名を呼び、キスをする。
「ン、ふ……っ」
 深く、深く。唇をぴったり合わせるような濃厚なキスをしたあと、彼の唇はゆっくりと私の顎を撫で、そして首筋を這う。
「あっ、んンっ!」
 首は弱い。そんなことを思い出したのも久しぶりだ。長年男日照りではあったけれど、性欲を発散するために自慰はしていた。でも自分を慰める時は、当然だけどこんなふうにキスをされたり、首を愛撫されることもない。
 だから、そう。忘れていたのだ。
「あっ、ン、首は、くすぐったいの、だから……っ」
 私が慌てて声を上げると、三上くんはキョトンとした顔をした。そして――ひどく妖艶に、そして意地悪に微笑む。
 ……そんな彼の表情も、もちろん初めて見る。
 こんなに意地の悪そうな顔もできるんだと、少し意外に思った。
「そう、首が弱いんですね」
 いい事を知った。そう言いたげに、三上くんが微笑む。なんだかゾワッと、不思議な悪寒が背中に走った。
「じゃあ、徹底的に攻めていかないといけませんね」
 ちゅっと音を立てて、首筋にキスをする。そして、生ぬるい舌がつるりと首筋をなぞった。
「あっ、ああっ!」
 びくびくと身体が震える。くすぐったいのと、みだらな性感が、両方いっぺんに刺激されるみたいで、私の身体は途端に制御不可能になってしまう。
 三上くんは私の手首を押さえ込んだまま、執拗に首筋を舐め始めた。
 舌が触れるか触れないかの絶妙なところで、まるで産毛を舐めるみたいに、舌先で薄く撫でられる。
「は、はっ、はぁっ」
 まるで痙攣しているみたいに、身体の震えが止まらない。
 いや、こんな愛撫をされたら、みんなこうなると思う。くすぐったいのに気持ちいいのだ。そのくすぐりは我慢できない程じゃないけど、ギリギリ我慢できるような、そんな力加減。我慢できるからこそ、甘やかに疼く。繊細な舌の動きを、身体中が敏感に感じ取ってしまう。
「だ、め、首は……っ」
 びくびくと身体を震わせながら言うと、くすくすと楽しそうに三上くんが笑う。
「そんなふうに言われると、余計に続けたくなりますね?」
「い、いじわる……だよ!?」
 私は身じろぎして、彼を睨む。すると三上くんはうっとりと夢を見るように、形のよい瞳を細めた。
「はい。僕は結構、好きな人をいじめるのが好きなんです」
「えっ……」
「逆にどうやらあなたは、会社で噂されているのとは逆に……いじわるされるほど、気持ち良く感じてしまうみたいですね」
 つまり三上くんが隠れSなら、私は隠れMだということか。
 うう、それはあながち否定できない。私はそう、積極的に攻めるのが苦手だ。そして快感に弱いという悲しい一面を持っていたりする。元彼にすらバレなかったのに、どうしてか三上くんには全てお見通しみたいだった。
 いやでも、別にいじめられたいわけではないのですが……!?
 多少Mっ気があるのは認めるにしても、かといって、自らそうしてくださいとお願いしたい願望はまったくない。ないはず。……だって考えたこともないし。
 いやでも、自慰するときは、なんとなくだけど攻められる自分を妄想していたような?
「また考え事してますね」
 耳元で三上くんが囁く。そしてちゅっと首筋に吸い付いた。
「ひゃっ!」
「余計なことは何も考えないで。今は僕だけを見て」
 舌がぬるりと滑らかに首筋を這う。痕をつけるようなキスの刺激に、身体がびくびくと跳ねる。
 そして三上くんの手がゆっくりと動き始めた。
 私の二の腕を掴むと、上から下に向かって撫でる。そしてジャケットのボタンに手をかけて、外していく。
 まだ服を脱がしているだけだ。何も起こっていない。なのに私の心臓は飛び跳ねそうな程にドキドキしている。
 久しぶりだから? 想像もしていなかった状況だから? それとも。
 ――私が心のどこかで、期待しているから?
 ワイシャツのボタンがぷつぷつと外される。
 逃げようという気持ちが、だんだんと薄れていく。
 パンツスーツのジッパーをずらし、するすると脱がされる。
 恥ずかしいという気持ちと、これから始まる出来事に胸が高鳴った。
 抵抗しなきゃという気持ちはあるのに、どうしてもできない。拒めない。
 頭の中は、未だ理性が残っていた。こんなことはダメだと否定する自分がいる。しかし同時に三上くんに触れてもらいたいという気持ちがあるのも事実だった。
 好きかどうかは、わからない。でも、触れられたい……。三上くんの愛撫がどんな感じなのか、確かめたくなってしまっている。
「ふっ、う」
 少し想像しただけで、ドキドキと胸の鼓動が速くなった。きっと顔は真っ赤に染まっているだろう。
 ――こんな気持ちを抱くなんて、上司失格だ。
「意外と冷静ですね」
 ブラウスも脱がされて、ブラとショーツのみというあられもない姿になってしまった私を見下ろして、三上くんが落ち着いた口調で話しかける。
「馴れてるって、思ってる?」
 心の中の動揺を悟られたくなくて、私は努めて冷静に答えた。
「いえ、さすが眞希さんだなって感心しただけです。でも、そうですね……」
 三上くんは、ブラの中心部分に人差し指を差し込んで、くすりと笑う。
「もし馴れているのなら、悔しいです。こんなにも好きだったのに、あなたは僕の知らないところで、僕ではない男に抱かれていたということなんですから」
 く、と彼が指に力を入れると、ブラが上にずれた。
 ふるりと乳房が零れ出て、さすがに顔が熱くなる。
「あなたが私のこと好きだったなんて今まで知らなかったし、あなたと知り合う前に誰かとつきあったことくらいはある。それで悔しいとか言われても困るわよ!」
 恥ずかしさをごまかすように声を上げるも、三上くんはまったくひるまない。
「ええ、ごもっともです。だから僕の嫉妬はただの理不尽。嫌になるほど理解しています。けれども……仕方ないでしょう?」
 無防備に晒された乳房。彼は大きな両手でそっと包み込む。
「自分勝手なエゴを集めてドロドロに煮詰めたような感情を、恋と呼ぶのですから」
 ぎゅっと強く掴み、大きく揉み込む。
「は、あ……っ」
 それは久しぶりの感覚だった。
 愛撫も、セックスも、本当に久しぶりなのだ。
 長くご無沙汰だった身体は、浅ましくも甘い快感を貪りだす。
「眞希さんって、着痩せするタイプだったんですね」
 豊満な胸は、彼の手に少し余るくらいだった。
 揉まれる感覚にさざ波のような官能を覚えてしまった私は、そっと横を向いて息を吐く。
「胸が小さく見える下着をつけているの。胸が大きいと、セクハラが多くなるから」
 乳房がふくらみ始めたころから、散々からかわれたし、いろいろ言われた。
 男からも、女からも。敵意を向けてくる人すらいた。
 身体的特徴を指摘されても私にはどうしようもないのに、奇異の目、悪意の言葉は、止むことがなかった。むしろ社会人なって露骨に増えた。昇進するたびに周りの男達に差別的な言葉を投げられた。
 悔しいけれど、そういう言葉も呑み込めるようにならなければビジネスの世界で生きていけない。
 セクハラを笑って流せるくらいでないと出世できない。
 嫌になるほど言われてきた言葉だ。だから私は、胸を小さくする下着をつけることにした。胸のことでからかわれるたび、笑って流すのが、辛くなったから。
 ――本当に、女が出世するとろくなことにならない。かといって、無難に目立たないように、当たり障りのない仕事をし続けるのも悔しかった。
 ……いつの間にか下唇を噛んでいた。唇の痛みで気が付く。
「眞希さん」
 何かを察したのか、三上くんが痛ましそうに私の名を呟く。
「すみません。なんとなく理解はしていたのですが、あなたは僕が思うよりもずっと、傷ついていたんですね」
「どうして三上くんが謝るの。あなたは関係ないじゃない」
「いいえ。僕はあなたを取り巻くたくさんの悪意から助けたいと思っていた。そのために努力し、考えられる限りのフォローをしてきたつもりでした。でも、ぜんぜん足りなかったんだなと思うと、自分が許せないんです」
「あのね、三上くんが責任を感じる必要なんてまったくないわよ」
 私はムッとして、彼をまっすぐに見つめる。
「悪意や嫉妬、理不尽なセクハラを受けるとわかっていても、昇進するためにこういう選択を取ったのは私自身。あなたがいてもいなくても、私の生き方は変わらなかったわ」
 はっきりと自分の気持ちを口にすると、三上くんは少し驚いた顔をして、ふわっと柔らかい笑顔になった。
「――本当にたまらない。眞希さんのそういう気丈さを、僕は気が狂いそうなほど好きになってしまったんですよ」
 乳房を柔らかく揉みながら、人差し指でつんと乳首をゆする。それは緊張からか、それとも部屋の寒さゆえか、……はたまた私自身が興奮を覚えているからか、硬く尖ってぷっくりと膨らみ勃っていた。
「はっ、んんっ」
 びくっと身体が震える。恥ずかしいくらい、自分の身体が敏感になっている。
 三上くんは私の反応を面白がるように、くりくりと乳首を弄り続けた。
「や、んっ、そこは……っ」
「感じてますね」
 くすくすと笑いながら、人差し指と親指できゅっと乳首を摘まむ。
 耐えがたく甘い感覚。びりびりと痺れるような性の官能。
 抗えないそれに対抗するように、私の身体は自然と強張る。ぎゅっと拳を握り、足のつま先がピンと伸びる。
 ぷるぷると震える私を、三上くんは優しく抱きしめた。
「頑なですね。そういうところを解きほぐしたい。僕に溺れてほしい」
 ちゅ、と唇にキスして、すぐさま舌が口腔に入り込む。
「んんっ……」
 とろけるような舌の絡み。歯列をゆっくりと舐め、舌の裏側を探る。
 三上くんの硬い手が、さわさわと乳房を撫でる。
 腰に腕を回しながら、ぎゅっと乳首を摘まむ。そして、こよりを作るようにくりくりと擦り始めた。
「んっ、んンーっ!」
 硬く尖った乳首はこりこりと硬く、快感が快感を呼ぶ。
 彼の唇で口が塞がれたまま、私は嬌声を上げる。
 気持ちいい。
 泣きたいほど気持ち良かった。でも辛い。やっぱり気持ちのどこかで『こんなことしてはいけない』という理性が、快感を貪りたい気持ちに歯止めをかけてしまう。
 でも、我慢すればするほど、それは甘く、耐えきれないほど気持ちが良くて。
 乳首が、彼の好きなようにいじくられる。
 摘まんで、ひっぱって、擦って。つんつんと突かれて。
 彼の指が動くままに、乳首が揺れる。
「んんっ、いや、いや、いや、いや……っ」
 乳首を弄られるのがこんなに気持ちがいいなんて。それだけで頭がおかしくなってしまいそう。
 唇をなんとか外して、快感から逃れるように首を横に振る。
「ああ……、眞希さんの感じてる顔。すごく可愛いですよ」
 三上くんはうっとりした声色で呟いて、唾液まみれになった私の唇にキスをした。そして首筋から鎖骨へと、舌先でつつと辿っていく。
 柔らかな舌の感覚に、身体がとろけてしまいそう。
 そして三上くんは、その温かな舌で乳首をぺろりと舐めた。
「はっ、あ……っ!」
 びくっと身体が跳ねる。
 それは久しく忘れていた感覚。舌で性感帯を愛撫される快感。
 ぎゅっとシーツを握りしめた。思わず身体をよじって、逃げ腰になってしまう。
 三上くんは逃さないとばかりに私の腰をしっかり抱くと、ちゅっと音を立てて乳首にキスをした。そして、強く吸い付く。
 じゅるる、とはしたない音がして、私の顎がくっとのけぞる。
「はぁ、あああっ!」
 身体中が痺れる。まったく言うことを聞かない。三上くんの腕は、そのスマートな姿から想像もできないほど力強くて、私の身体は逃れることができない。
 そんな状態で、彼は私の乳首を舐め、吸い、口腔に含んで舌で転がす。
 いやらしい水音が部屋内に響いて、快感に身体が勝手にうねる。
「ひ、ン……っ! や、きもち……い、から……っ」
 首を横に振る私は、まるで快楽に降参したみたい。
 その時、頭の中である記憶が過ぎった。
 ――『お前、それ、引く』
 ――『逆に萎えるっていうかさあ。空気読めよ』
 ハッとして、びくりと身が震えた。
 もう許して。やめて。このままだと私、三上くんに醜態を晒してしまう。
 だからやめてほしい。私は上司なのだから。年上なのだから。三上くんを監督する責任があって、彼が間違ったら正さなくてはいけない。それに、なにより。
 ――落胆されたくない。
「や、だめなの……っ!」
 絶え間ない舌の愛撫に、頭がくらくらしながらも、私は拒否の言葉を口にする。
 手の平で彼の頭を押して、懸命に抗おうとする。
「だめ? こんなにも気持ちよさそうなのに?」
 喋りながら、はむと乳首を食む。びりりと性感が身体中をめぐり、私はイヤイヤと首を横に振る。
「だめ、よ。だって私、三上くんに、嫌われたくない……っ」
 ついに口から本音が零れ出てしまった。
 そうだ、私は三上くんに嫌われたくないから、やめてほしいと思っていたんだ。
 三上くんにとって、頼れる上司でありたい。素敵な人だと思われたかった。だから、性の快感を浅ましく貪り、ただ快楽に啼く自分を見られたくなかったのだ。
 つまり私は、どこまでも三上くんに恰好をつけたかった。
 でも、それはなぜ? 彼に落胆されたくない、いやらしい女だと思われたくない。そう虚勢を張る理由が、私にはわからない。
 自分の心のことなのに、その答えはずっと、薄いベールに隠されているようだった。
 三上くんが僅かに口を開いて、ふ、と息を零す。
 そして、薄く目を細めて妖艶に微笑んだ。
「僕があなたを嫌うなんて、太陽が西から昇るくらいありえませんよ」
「な、なによ、その極端な例えは」
「あなたを嫌うのは不可能ってことです。わかりやすいでしょう」
 にっこりと笑顔を浮かべた三上くんは、再び乳首に口づけた。
「ンっ! だ、だから」
「ねえ、眞希さん。僕は何度もあなたに言っているでしょう。僕を見て、僕に溺れてくださいと。これは僕が望んだ状況なんですよ」
 私の胸に触れた手は、するすると降りて、お腹を柔らかく撫でる。そして更に下へ伸びていって、秘所を覆う茂みに触れた。
「あなたが性感に狂い、啼き叫ぶことを、僕は心から望んでいる。だから存分に乱れてください。誰も知らないあなたの姿を、僕に見せてください」
 くちりと秘所を開いて、人差し指でツツと襞を撫でた。
「あぁっ!」
 ビクビクと身体が震える。じゅくりと淫らな水音を立てて、三上くんが乳首に吸い付く。
「は、はあ、っ、あっ!」
 ちろちろと舌先で乳首を弄りながら、秘裂に触れる人差し指がくなくなと動く。
 これまでの執拗なキスと愛撫で、すでに蜜口から愛液が分泌されていた。三上くんはそれを人差し指で拭い、秘裂に塗りつける。するとぬめるような感覚が更なる快感を呼び、愛液が零れ出す。
「ふっ、んンっ、んぅっ」
 ちゅ、ちゅっ。乳首に強く吸い付くようなキスを何度もされて、そのたびに身体がぴくぴくと跳ねる。
 私の身体はすっかり逃げる気がなくなって、ぐったりと力を失っていた。
 三上くんは腰に回していた手を動かして、もう片方に乳房を柔らかく包む。そして、きゅっと乳首を抓られて、私は自然と身体をゆすってしまった。
「ひ、ゃ……っ、そんな……っ、気持ちよすぎて、だめぇ……っ」
 身体中を愛撫されているみたい。
 こんな感覚、味わったことない。
 セックスの経験はあるけれど、三上くんの愛撫は過去の快感を全て覆すほどに気持ちいい。彼が望むとおりに狂ってしまいそう。はしたなく啼き叫んでしまいそう。
 三上くんの淫らな愛撫は、まだ終わらない。
 愛液まみれになったとろとろの人差し指は、つつと優しく秘裂をなぞって、秘芯に触れた。
 その途端、電気が背骨を伝うような痺れを感じた。
「あぁあああっ!」
 イヤ――気持ちいいの。ダメ――そこが好きなの。
 ふたつの相反する気持ちが私の頭を駆け巡る。
 私の心を知ってか知らずか、三上くんは乳首から唇を離すと、ニヤリと笑った。
「弱いんですね、快感に」
 そう、嬉しそうに言ったあと、彼は人差し指で秘芯を押しつぶす。
「ひゃっ、あぁん!」
 身体をよじってびくびくと身体が震える。
「だめですよ。弄ってほしいところはもっと広げてみせないと」
 三上くんは意地悪げに言うと、身を起こし、私の膝を掴み上げる。そしてぐいと力まかせに横へ倒した。
 内股が大きく開いて、まるで秘所を見せつけるような恰好になり、かあっと顔が熱くなる。
「あ、あ……っ!」
「ほら、眞希さんの恥ずかしいところが丸見えです。これくらいちゃんと広げてくれないと、僕もやりづらいですから」
 何か、とてつもなく理不尽なことを言ってる気がする。
 でもドキドキと胸の鼓動は高鳴り、身体は熱く火照っていた。恥ずかしいのに、どこか興奮している自分がいるのだ。
「両手で愛撫しますから、ちゃんと足を大きく広げてくださいよ。閉じたら怒りますからね」
「お、怒るって、あなたが、私に?」
「ええ。きついお仕置きしますから、嫌だったら言うことを聞いてください」
 ニコニコしながら、なんだか酷いことを言う。
 三上くんは私の足の間に座り込んだ。足を閉じたら怒ると言ったけど、これでは物理的に閉じることができない。
 そんな体勢の中、三上くんは再び私の秘芯に触れた。
 びくっと震える身体。
 同時に、もう片方の指が秘裂の蜜を拭いつつ、蜜口の周りをくるくると弄る。
 くちゅくちゅと粘つくような水音。じわじわと嬲るような性感。
 まるでじらされているみたいな感覚に、私の身体はどんどん熱を帯びていく。
「指、挿れてほしいですか?」
 つんつんと秘芯をつつきながら、蜜口を意味ありげに人差し指で擦る。
「そ、そんな、こと……なっ」
 私が慌てて言うと、彼は妖しげに瞳を細める。
「口ではそう言いますけど、ここは挿れて欲しそうにしていますよ。ぽっかりと口が開いて、可愛いですね」
 くすくすと笑いながら言って、ぎゅっと強く秘芯を抓る。
「ひゃ、ああンっ!」
 強い刺激にびくびくと身体が震えて、膝はがくがくと笑い出す。
「快感に弱い眞希さん、とてもいいですよ」
 心底楽しそうな三上くんは、私の膝にキスをする。
「本当は口で言わせたいですけど、あなたはまだ、心の底では僕に溺れてはいませんからね。まずは快楽漬けにして、頭の中を溶かしてあげましょう」
 膝に唇をつけながら、チラ、と私を見る。
 言葉の声色はとても優しく、柔らかな雰囲気さえしているのに、その目はギラギラと鋭く、まるで猛禽類のようだった。
 ドキリと心臓が跳ねる。
 今まで見たこともなかった三上くんの肉食獣のような表情に、心が興奮している。
「ほら、素直に感じて――」
 ちゅく。慎ましい水音を立て、彼の人差し指が蜜口に挿し込まれる。
「ふっ、あ、んんっ」
 膣内の異物感。ごつごつした指の感覚。――自分の指とはまったく違う、他人の指。
「ここも弄ってあげましょうね」
 秘芯を摘まんで、指の中で転がす。
「ひぁァアアっ! そ、そこはもう、いいの!」
「いえいえ、まだ足りません。眞希さんの気がおかしくなるほど、僕の指を好きになってもらわないと。たくさん、感じてもらわないとね」
 がくがくと足が震える。本能的に足を閉じようとする。だけど足の間に三上くんがいるから、閉じることができない。
 完全に無防備になってしまった秘所を、三上くんの指が淫らに蹂躙する。
 膣内に入った指は抽挿し始め、もう片方の指は秘芯をえぐり取るように擦る。
 ちゅぷ、ちゅく、と、はしたない水音が響く。
「ふっ、あっ、ああっ、ひ、ン……っ」
 ぎゅっとシーツを握りしめ、私は唇を噛みしめる。すぐさま三上くんは、私の唇に口づけた。
「ちゃんと、口開けて。喘ぎ声を出して」
 ちろりと舌で唇を舐められて、痛みがほぐれていく。
 そしてナカに埋めた人差し指を曲げ、ぐりぐりと抽挿する。
「ああっ、んん~っ!」
 自分でも驚くくらいの声が出てしまった。
 恥ずかしさに涙がにじむ。だけど指の愛撫がとてつもなく気持ちがいい。
 自ら分泌した愛液は絶え間なく零れ続け、シーツをはしたなく濡らす。
 とろとろになった秘裂への愛撫はもはや快感以外のなにものでもなく、いっそ暴力的なほどに私の官能を刺激し続ける。
 ちゅく、ちゅ。水音が鳴るたび指が動いて、強すぎる性感は大きな衝動に向かって高まっていく。
「んっ、あ、ヤッ……イッちゃう……っ」
 思わず三上くんの肩を掴んでしまい、そのまま力任せに握ってしまう。
 大波に浚われて何がなんだかわからなくなるような、頭がまっしろになる瞬間。
 スパークに似た衝動に、身体が強く戦慄く。
「ひっ、あ、~~っ!」
 堪えきれずに、はしたない嬌声を上げた。
 愛撫でイく感覚は、自慰で果てる感覚と、まったく違っていた。
「は、はぁ、はぁ」
 肩を上下して呼吸を繰り返し、私はようやく三上くんの肩を握りしめていたことに気づいた。
「ごっ、ごめんなさい。痛かった、よね。ごめん」
 慌てて手を離すと、三上くんはふっと笑った。
「いえ、嬉しかったですよ。めちゃくちゃ気持ち良くなってるのが伝わってきましたから」
 私の顔がカッと熱くなる。
「そ、そういうことを言わないで! 恥ずかしいから……」
「可愛いですね、眞希さん。これからもっと恥ずかしい目に遭うのに」
 意味ありげに目を細めた三上くんは、すっと身を起こして自分のシャツに手をかける。
 ぷつぷつとボタンを外してワイシャツを脱ぎ、その下に着ていた黒いTシャツも脱いでしまう。
 途端、露わになった彼の裸体に、私は目を丸くした。
 三上くん、結構筋肉質な身体なんだ。知らなかった……。彼も私と違う意味で着痩せするタイプなんだろう。
 彼は手早くスラックスと下着も脱いでしまって、近くに置いていた避妊具のパッケージを開けた。
 ぴりりとフィルムを開封して、中からゴムの避妊具を取り出す。片手で装着する様は、なんだか手慣れているように見えた。
 私の膝を掴んで、ぐいと大きく開かせる。
 ニヤ、と浮かべる笑みは妖しげで、艶めかしい彼の身体は引き締まっていて色気すらある。
 顔が火照り、身体が熱い。一度は果てたのに、まだ興奮したりないのか、私の息が上がっていく。
「眞希さん。あなたをください」
 そっと頬に触れて触れあうだけのキスをする。
 力なく口づけを受けながら、私は何度も呼吸を繰り返した。

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