
お飾りの妻ですが、エリートドクターに甘い溺愛で抱かれまして!?
著者:轡田こもも
イラスト:カトーナオ
発売日:2025年 11月28日
定価:710円+税
澤総合病院院長の一人娘である美久璃は、望まないお見合いを強いられていた。
お見合い前夜、ナンパされたところを密かに想いを寄せいていた心臓外科医・椎堂裕典に助けられた美久璃。
美久璃は、これが最後のチャンスだと想いを告げ、一夜限りの淫らな夜を過ごしてしまったのだがーー?
しかし翌日、お見合い相手として現れたのは裕典その人で!?
「これから夫婦になるんだ。あの夜みたいに後ろめたくなることもなく、気が済むまで愛してやる」
思いもよらぬ展開だったものの、裕典と夫婦となった美久璃は幸せいっぱいの新婚生活を送ることに。
だが、裕典の態度から美久璃は彼にとって「お飾りの妻」でしかないと感じていて……?
【人物紹介】
椎堂美久璃(しどう みくり)
澤総合病院の大事な一人娘。25歳。
容姿端麗で健気な努力家。
裕典に想いを寄せているが、半ば強制的にお見合いが決まってしまいーー!?
椎堂裕典(しどう ゆうすけ)
澤総合病院に勤める心臓外科医。33歳。
誰もが振り向く端正な容姿の持ち主で、クールな一匹狼タイプ。
裕典にとって自分が「お飾りの妻」だと美久璃は思っているが……?
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【試し読み】
(う、嘘でしょ……?)
椎堂とふたりきりになってしまい、美久璃はあからさまに動揺を露わにする。
なにか言わなくてはと慌てて言葉を探した。
「あの、ありがとうございました。通りがかりとはいえ、助かりました」
「まったく……ドジ子健在だな。いや、今のはドジじゃ済まないことになるところだった。なにやってんだ」
初めこそいつもの調子で美久璃をからかった椎堂だが、今の件に関しては冗談抜きの言葉を投げかけてくる。
「ごめんなさい。ちょっと、どうでもいいやって、なっちゃってて……」
「どうでもいい? なにがだ」
「私、お見合いしろって言われて、明後日しなくちゃいけなくて。まだ、したくないのに……」
かなり飲んでいる状態で今の自分の気持ちをまとめるのは難しい。
それでも、こんな風な場面を見せてしまい、助けてもらったからには事情は話さないといけないと思う。
「なんで見合いをしたくないんだ?」
「それはっ……」
身を固める前に、好きだったことを伝えておけばよかった。
さっき飲みながらそんな後悔をしたばかりだと思い返し、意を決して椎堂を見つめた。
「好きな人が、いるからです。私、椎堂先生のことが好きでした」
言えた。という気持ちと、言ってしまった。という気持ちが混在する。
でも、今またここで言わなければ、あとで後悔すると思う気持ちが一番だった。
突然の告白を受けても、椎堂は顔色一つ変えない。
ただじっと、美久璃を見つめる。
「だから……そんな気持ちのまま、親の決めた人と結婚しなくちゃいけなくて、もう、どうでもいいやって」
「だからって、どこの馬の骨かもわからない男についていって犯されてもよかったって言うのか?」
「一瞬血迷ったのは事実ですけど、でも! 椎堂先生のことが頭に浮かんで、やっぱり無理ってなりました」
素直に話した美久璃を前に、椎堂は深く息をつく。
「ったく……だからって、血迷うなよ」
「だ、だって! 椎堂先生に、私の気持ちなんてわからないですよ。好きでもない人と、もうすぐ結婚させられちゃうんですよ? そんなこと言うなら、椎堂先生が相手してください!」
勢い余ってとんでもないことを口にしたと思った。
でも、美久璃に後悔はない。
ここで拒否されれば、きっぱり諦めもつき日曜日の見合いに臨める。
もしも、奇跡が起こって一緒に過ごせるのなら、もうなにもそれ以上に望むことはない。
どちらに転んでも、今の自分の気持ちを伝えられたことには変わりはないのだから。
美久璃はじっと椎堂を見つめる。美久璃からの真剣な眼差しを受け、椎堂は小さく息をついた。
「そんなこと頼んで、俺になにされても後悔しないのか」
椎堂の真っ直ぐな視線に射抜かれて、美久璃は躊躇うことなく即答で頷く。
「しないです。このまま気持ちのない結婚をしなくちゃいけないなら、せめてその前に、好きな人に初めてをもらってほしい」
密かに想いを寄せてきた椎堂が自分の初体験の相手になってくれるのなら、それ以上のことはない。
「わかった」
短い返事と共に椎堂は美久璃の手首を掴む。
大通りまで出ていくと、タイミングよく走ってきたタクシーを停めた。
「ザバラまで」
椎堂が運転手に伝えた『ザバラ』は、六本木にあるラグジュアリーホテル。
行き先を聞いた美久璃の鼓動はひとりでに高鳴っていく。
何分もしないうちにタクシーは目的のホテルのロータリーに入り、エントランス前の車寄せに停車した。
手早く支払いを済ませた椎堂は、再び美久璃の手を取る。一緒にタクシーを降車し、「こっちだ」とそれだけを言ってエントランスに向かっていく。
美久璃から見える椎堂の横顔は普段通り涼し気だ。
二十二時を回ろうとしている時刻。
ホテルのロビーは人の姿は少ない。
こんな時間にチェックインなんて可能かと思っているうちに、椎堂はインフォメーションには向かわずエレベーターホールへと入っていく。
向かった高層階の客室には、すでに所持していたカードキーを使って入室した。
「椎堂先生、ここに宿泊しているんですか?」
「明日、この近くで学会があるんだ。そういうときはホテルを取ったりしている」
入り口のドアが閉まると、椎堂は「そんなことより」と美久璃の肩を掴んだ。
「これが最終確認。今ならまだ、やっぱり帰るって選択肢も選べる。どうする?」
「帰りません」
一瞬も考える間もなく返ってきた返事に、椎堂は間髪入れずにその場で美久璃の唇を奪った。
酔ってふわふわしていた感覚が、弾けるようにして鮮明になり、口づけへと意識を持っていかれる。
椎堂は柔らかい唇を味わうように、触れては離れを繰り返し、やがてわずかに開いた美久璃の唇を割って舌を忍び込ませる。
「っ……ふっ、んっ、っ……」
これが、美久璃にとって生まれて初めてのキス。
触れて戸惑い、体の熱が上がり始めたところで口づけは濃厚になっていく。
触れ合っている間はどうやって呼吸をすればいいのかもわからず、あっという間に呼吸が乱れていた。
「し、ど……せんせ……」
「まさか、キスも初めてなのか」
すでにとろんとした目で自分を見つめる美久璃に、椎堂は若干信じられない思いで問う。
美久璃は一度こくっと頷いた。
「初めて、です……キスも、その先も、全く経験はなく……」
キスどころか、異性と手を繋いだり、触れたことさえない。
椎堂は美久璃を軽々と抱き上げた。
「じゃあ、キスの仕方から教え込まないといけないな」
部屋の奥へと美久璃を運んでいった椎堂は、キングサイズのベッドへと横たわらせる。
ベッドの柔らかさに体が包まれて、美久璃は鼓動が激しくなる一方の胸を手で抑えた。
「椎堂先生、私……」
椎堂は涼し気な目で美久璃を見下ろす。お構いなしに口づけを落とした。
「っ……っ、ん」
「呼吸をどうにかしようと意識しなくていい。息をしたいなら、鼻でするんだ」
実践してみろと言わんばかりに、椎堂は美久璃の唇を塞ぐ。間髪を入れず口腔内に舌を忍ばせた。
「はっん……っ、ん──」
言われた通り、呼吸に気を取られずにキスに挑む。
軟体動物が探索でもするように、生温かい舌が美久璃の口内を動き回る。
「……舌を出して」
どきりとする要求をされ、美久璃は動揺しながらもそれに従う。
遠慮がちに唇から舌先を覗かせると、椎堂は吸うようにしてそれを食んだ。
「ん、っ、ふっ……」
キスだけでこんな風に体の芯が蕩けるような感覚になるなんて、男性経験の無い美久璃は思いもしない。
首の後ろに手を入れられて上体を起こされると、ふわふわと浮遊感に襲われた。
椎堂は美久璃のパステルグリーンのカーディガンのビジューボタンに手をかける。
ひとつ、ふたつ、三つと外していき、中に着ている小花柄のワンピースの前ボタンも次々と外していく。
「あ、あのっ……」
ワンピースの下のスリップが眼下に見え、咄嗟に声が出ていた。
「恥ずかしい、です」
それが美久璃の本音。
これまで男性に下着の姿など見せたことなく、羞恥が押し寄せる。
椎堂は俯く美久璃を覗き込んだ。その表情には試すようにほんのり笑みが覗く。
「どうする。やめるか、続けるか」
ここまできて選択肢を与えてくれる椎堂には余裕がある。
きっと、美久璃がやめると言えばこれ以上は触れないのだろう。
「やめません。続けてほしい」
しかし、美久璃の答えははっきりしている。
初めてを彼に奪われたいと願ったのだ。
巡ってきたそのチャンスを棒に振ることはできない。
「それなら、その意思表示としてここからは自分で脱いでくれ」
「えっ……」
驚くような要求をされても、美久璃は「わかりました」と従順に応える。しかし、急激に鼓動は高鳴りを増していく。
腰を浮かしスリップの裾を持ち上げて脱ぎ、ブラとショーツの姿になった。
純白の控え目なレースのセットアップは、無垢な美久璃によく似合っている。
「これで、いいですか……?」
恥ずかしくて椎堂の顔も見られない美久璃は、両手で自身を抱きしめる。
そんな美久璃を、椎堂は肩を押して再びベッドへと倒していく。
自らもネクタイを取り去り、シャツも脱ぎ捨てた。
目の前に現れた憧れの人の裸体に、美久璃の心臓は大きく音を上げ鳴り響く。
必要最小限しか肉のついていない体は、しっかり鍛えているのがわかる筋肉のラインが美しい。
胸筋や腹筋の突出に目を奪われていると、彼に手首を掴まれた。
椎堂は、そんな美久璃の胸元を押さえている手を片方ずつ離していく。
「隠されると暴きたくなる。それが心理だ」
「あっ……」
剥がされた手をシーツに縫い付けられると、椎堂が手を離しても美久璃はそのまま動かない。
その様子を、椎堂はわずかに目を細めじっと見つめる。
「美しい。隠す必要なんてどこにもない」
「そんなこと……あっ」
椎堂の指先がレースをまとった膨らみに触れ、美久璃はピクリと体を揺らす。
骨ばった指に包み込まれた透き通るような白い双丘がふわふわと形を変えていく。
「やっ、あっ……」
眼下で自分の胸が男性の手に形を変えられているという卑猥な光景は、美久璃の鼓動を壊れそうなほど高鳴らせていく。
指先で引き下げられたレースの縁から、薄紅色の乳暈が覗く。
「やっ……あっ」
椎堂は白い膨らみからなぞるように指先を乳暈へ滑らせ、美久璃の目をじっと見つめた。
「綺麗な色だ」
「いや、恥ずかしい……」
自分の胸を男性にまじまじと凝視されるなんて、羞恥でどうにかなってしまいそう。
でも、美久璃のそんな様子を楽しむように椎堂は柔なピンク色を撫でていく。
「っあ、やっ」
見ていられず顔を横に背けると、より強い刺激に体が跳ねた。
「あっ……! や、あっ」
乳暈に触っていた指先が、先端の小さな実を突いている。
ちょんちょんと触れ、人差し指の腹で円を描くように弄ぶ。
「気持ちいいか。ここが主張してきている」
「しゅ、主張って……んっ、やぁ」
美久璃は自分の体の変化に困惑する。
自分のものとはいえ、体を洗うときくらいしか触ったことがないし、こんな風に全身がびくんとなるような感覚を覚えたことはない。
椎堂は指先で転がしていた乳頭を軽く摘んだ。
「はっん……!」
またしても体がびくっと跳ね、美久璃はふるふると横に頭を振る。
椎堂はそんな美久璃に構わず、ふっと笑って硬くなり始めた乳頭を口に含んだ。
「あっ、ん……やっ、椎堂、せんせ……」
膨らみの頂点に口づけ、上目遣いで美久璃を見る椎堂の悪戯な端正な顔に、美久璃の心臓は壊れかける。
見ていられず、両手で目元を隠したものの、今度はそのせいで触れられている部分に全神経が集中してしまうという悪循環。
口内に迎え入れられた乳頭は、生温かく柔らかい舌に転がされていく。
舌先で嬲られすっかり硬くなった乳頭を、椎堂は前触れなく吸い上げた。
「あぁぁっ、んあっ──」
無意識に体をよじろうとした美久璃の二の腕を押さえた椎堂は、容赦なく行為を続ける。
「っ、ん、あっ……やっん──」
体の至るところからなにかが這い上がってくるような感覚を覚え、初めてのことに美久璃は困惑する。
椎堂は押さえる二の腕から手を離し、豊かな胸を両手で包み込む。寄せるようにすると、まだ唾液に濡れてないほうを舌先で転がし始めた。
「やっ、し、椎堂せんせ……だ、め」
すっかり勃ち上がったピンク色の実を味わいながら、椎堂の右手が脇から腰を下りショーツにたどり着く。
その手は太腿を撫でると、内側へと滑り内腿の間に入っていった。
「脚の力を抜いて」
指導するように囁かれ、美久璃は自分の意思で脱力していく。
内腿を往復していた椎堂の手が、ショーツに触れ美久璃の秘唇をそっとなぞった。
「あっ──」


