極上社長は最愛の元妻を今度こそ離さない ~離婚した彼の切愛に囚われる~

書籍情報

極上社長は最愛の元妻を今度こそ離さない ~離婚した彼の切愛に囚われる~


著者:乃村寧音
イラスト:黒田うらら
発売日:2023年 4月14日
定価:620円+税

ある日、作曲家として活動する沙理のもとにゲーム楽曲の制作依頼が飛び込んできた。
いつかやってみたいと思っていた憧れの仕事に沙理は快く引き受ける。
だが、依頼主として打ち合わせに現れたのは元夫・律史だった……!?
社長になっても変わらない彼の姿に、嫌いになって離婚したわけではない沙理の心は酷く動揺する。
打ち合わせを終え、たわいもない会話をする二人は次第に一緒に過ごしていた頃の想いを溢れさせて――。
「沙理。相変わらずきれいだ……」
三年ぶりに肌を合わせた夜は、激しくも淫らなものだった。
情熱的な一夜を過ごし、律史は自身の想いが沙理に伝わったと感じたのだが、彼女はどうやらそのことを後悔をしているようで――?

【人物紹介】

松野沙理(まつの さり)
31歳の作曲家。田舎暮らしをしている。
大人しく奥手な性格だが、芯はしっかり持っている。
ある日、元夫である律史の会社から作曲の依頼がきて――!?

河野律史(こうの りつし)
ゲーム制作会社の社長。
頭の回転が早く、好奇心旺盛な性格をしている。
別れた沙理への想いが忘れられず……。

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【試し読み】

「あ」
「どうしたの?」
「新幹線、もう無いかも……」
「え」
 驚いてる律史を尻目に、わたしはスマホで調べ始めた。
「あ。ない」
「え。ほんとに? 俺が東京で調べたときには、まだあった気がしてたんだけど」
 一番近い新幹線の駅まで車で約四十分くらいかかるのだが、その駅そのものが田んぼの中にあり、主要な駅ではないため、各駅停車の新幹線しか停まらず、 そんなこともあって最終が早いのだ。
「あと二十分……飛ばしていけばどうにかなるかな」
「でも、危ないよ」
「そうだよね」
 バカバカ、と自分を殴りたくなった。わたしはいつもこうだ。目の前のことだけで、肝心なことを何も考えていない。ここに初めてきた律史が新幹線の時間のことを知らないのは当たり前で、わたしが気をつけてあげなければならなかったのだ。
「ごめん、俺も来ることだけに夢中になっていて、帰りはなんとかなるだろうって簡単に考えていて。このへん、最終が早いんだね、ちゃんと調べてくれば良かった」
「わたしこそ、ごめん……ちゃんと気にしてあげてなくて」
 律史が来た、ということだけでわたしは頭がいっぱいになってしまい、他のことを何も考えられなかった。本当にバカだ。
「どうしよう。あ、バス!」
「バス?」
「そう、高速バスならきっとあるよ」
 新幹線が無くなっても、深夜発着の高速バスなら、一番近い政令指定都市からたくさん出ている。
「このへんから出ているの?」
「うーん、車で三時間かなぁ。送るよ」
「そんなの、遠いよ。沙理にそんなこと、させられないよ」
 確かに、夜の運転で片道三時間は、わたしにはつらいかもしれない。やったことがない。
「でも、律史、忙しいんでしょう? 本当にごめんなさい」
「謝らないでよ、大丈夫だよ、いきなり来た俺が悪いんだから。それより……申し訳ないけど、泊めてもらえる? 始発で帰れば、明日の仕事に間に合いそうだ」
「もちろん大丈夫だよ。じゃ、明日の朝、駅まで送っていくね」
「ごめんね。申し訳ない。ありがとう」
(ん……? 律史、泊まることになっちゃった)
 内心戸惑ってはいたけれど、もう物理的にどうしようもなくて。そういうことになった。
 律史はリュックを置き、ふわぁーっという感じで伸びをした。少し疲れているようだ。
(律史、本当はすごく忙しいはず。ここでこんなことをしていて、いいのかな。今日の打合せだって本来なら、律史じゃなくても良かったんだと思うけど)
 パソコンを納戸に片づけた。律史はさっきの縁側が気に入ったのか、座って外を見ている。
「もう暗いから、何も見えないでしょう?」
「そうなんだけど、虫の声もすごいし、すごく空気がいいよ。肺が洗われる感じがするな」
「律史、煙草吸わないじゃない」
「でも排気ガスは吸ってるからさ。ここはそういうのもないだろ。あ、星がきれいだなぁ」
「うん、このへん、星がきれいだよ。流星群なんかも良く見える。……なんか。飲む?」
 まだ寝てしまうには早いし、星を見たりしたいのかなと思って声をかけた。
「うん、ありがとう。じゃ、ビールあるかな?」
「地ビールでよければ」
「いいね、飲みたい」
 わたしも毎晩飲むわけではないけれど、嫌いではないから時々ひとりで飲んでいる。地元のビールを貰ったりすることもあり、冷蔵庫には常に何本か入っている。日本酒も美和ちゃんに貰った四合瓶が一本と、赤と白のワインや、確かランブルスコもあったはず。
 グラスを持ってきて、地ビールを注いだ。二人で乾杯する。
「何に乾杯するの?」
「再会に、でしょ」
 夏の星空の下、虫の声を聴きながら律史と飲むビールはめちゃくちゃ美味しかった。美味しすぎて一気にごくごく飲んでしまい、律史が二本目を冷蔵庫から持ってきて注いでくれた。
 律史は腰が軽く気も優しい男なので、一緒に暮らしていたときも、いつもこんな風だった。
(それにしても、なんで来ちゃったの? 律史……)
 二杯目はゆっくり飲んだ。律史はすごく楽しそうで、それで逆に、
(何考えてるんだろ?)
 と思ってしまった。
 別れた二人というのは、未練がある側のほうが、会いたがらない気がする。なぜなら、自分の中で整理ができていないから。未練などないほうが、案外あっさりと再会を楽しめるのかもしれない。ということは、律史は未練がないのかもしれない。
 律史は、なんだか楽しそう。わたしと再会したときから、ずうっと、楽しそうだ。
(きっと、わたしに仕事を頼みたかっただけなんだろうな)
 それはそれで、いい。そう思う。律史がわたしの仕事を認めてくれているってことだもの。
 離婚のとき、わたしは別れたくないと言ったのに、律史はそうじゃなかった。思い出すと悲しくなるから、なるべくあのときのことは考えないようにしているけど。
 キッチンに戻り、冷蔵庫からチーズを何種類か出して切って、トマトやクラッカーを使ってちょっとしたおつまみを作った。
 大皿を出し、並べ始める。
 ゴーヤの白和えを作り置きしていたので、それも。その周りにナッツと、チョコと、生ハムをきれいに。
 これで、『大皿におつまみ全部乗せ』の出来上がり。昔、よく作った。これだけ置いておけば、二人でじゅうぶん飲めてしまうから。
「あ。懐かしいな、これも」
「でしょ」
 ランブルスコを出してきた。グラスに注ぐ。ちょっと甘くて美味しい。喉にするする入っていく。
 律史の話が聞きたくて、尋ねた。あれからのこと。そしてこれからのこと。
 律史は、『ディープグリーン』を大きくしたら売却するつもりだ、と話した。そしてまた自分は別のことをする、と。
「ふうん」
 昔からこんな感じだった。律史の話は大きい、そして面白い。わたしはずうっと、作曲の作業ばかりしていて変化がないけれど、律史は次々に別のことを考えている。わたしはそんな律史の話を聞くのが好きだった。
(ん。なんか、やばい……)
 トイレに行きたくなって立ち上がり、歩いている最中にふらっと来た。そんなに飲んでいるつもりはなかったから、自分でも意外だった。
(ビールと、ランブルスコくらいなのに。あ、そんなことないか)
 さっき、気がついたら、律史が冷蔵庫から冷酒を取り出してきていた。それも飲んでいる。ランブルスコはとっくに空になっていた。
(うーん、けっこう飲んでいるのかも……)
 律史が側にいる、ということがやばい。ものすごくやばい。そして、夜で、お酒を飲んでいる。これはもう、絶対にやばい。たぶん……。
(わたしったら。ダメじゃん)
 さっきからずうっと、律史を見つめてばかり。すっきりとした顎の線、シュッとした目尻、ちょっと骨っぽい、長めの指。
 ダメなことはわかっているのに、身体の奥がどんどん熱くなっているのがわかる。どこか心地よい熱さで、ちょっとしたきっかけて、たくさん気持ちよくなってしまいそうな……。
(触れたいな……)
 絶対に、触っちゃダメってわかってる。もし今、律史に触ってしまったら、我慢できなくなってしまう。
 ふと、律史がこっちを見た。わたしの視線に気がついたみたい。
「どうしたの? なんか可愛い顔してる。いや、前からずっと可愛いんだけどさ」
「そんなこと言ってくれるの、律史くらいだよ。わたし、そんなに可愛くないもん」
「何言ってるんだよ。沙理は、ずーっと前から、めちゃくちゃ可愛いよ」
 律史の手が伸びてきて、わたしの頭をさらっと撫でた。
(あ)
 ビリビリっと体中に何かが走った。直後、ぞわぞわと鳥肌が立った。
(なんで、触るのよ! こんなに我慢してるっていうのに!)
 身体の奥から沸々と何かが湧きだしてくる。抑えようとするのだけど難しくて、わたしは何度も息を吐いた。
「どうしたの? なんか顔赤いよ。苦しそう」
「苦しいんじゃなくて……」
 言いかけて口をつぐむ。これ以上はとてもじゃないけど言えない。
 だって、ずっと我慢していたのだ。この三年間、ずっと。
 律史以外は受け入れることができないし、たまにひとりでするくらい。そんな禁欲生活をずっとしてきたのに、目の前に大好きな律史が出てきてしまったら──。
「ねえ、律史」
「何?」
「わたし、したい」
 そう言いながら、ぎゅっと抱きついた。久しぶり過ぎてどうしたらいいかわからなくて、そんなことしかできなかったのだ。律史は戸惑っている様子だった。
「えっ。沙理、したいって、そういうこと?」
「うん。興奮してきちゃった」
「興奮してきちゃった、って。でも沙理、今夜は俺、そんなつもりじゃ……」
「勝手に来たくせに、何言ってるのよ。悪いのは律史なんだからね」
 わたしを引きはがそうとする律史に必死にしがみついていると、急にふわっと力が抜けた。そして、律史がそっとわたしを離して、わたしたちは一瞬見つめ合った。顔が近づく。
(あ……)
 キスされた。久しぶりのキス。ただ触れるだけのキスは一瞬で、次に舌先がわたしの唇をつついて開けさせ、割って入ってくる。
 わたしはそれをうっとりと受け入れた。
(どうしよう。めちゃくちゃ幸せ……)
 もう二度と、キスをすることなどないと思っていた。
 手を握られて、握り返した。縁側に座ったままで、今はただ隣同士座っているだけ。
 さらに深く、律史の舌が口内に入り込んできて、わたしの舌に絡みついてくる。背中のぞくぞくが止まらなくて、座っていられなくなった。
「中、入ろうか」
 唇が離れ、 律史は立ち上がってわたしの手を引き、一緒に中に入った。
 奥に置いてあるベッドはセミダブルで、シングルよりは広いけど、そんなに大きいわけじゃない。さっきまでは律史のために押し入れから布団を出して敷こうと思っていたけれど、それどころではなくなってしまった。
 ベッドの上で、キスを続けながら律史がゆっくりとわたしの肩や背中を撫でる。律史の愛撫はいつも優しく、変わらず、すごく気持ちよかった。
「こんな、いきなりすぎるだろ。久しぶりなのに……。でも沙理にこんな風になられたら、俺だって……我慢できなくなる」
 触られたとこから順番に甘く痺れる感じが残って、そこから全身に広がっていく。
 わたしは律史の着ていたグレーのリネンシャツを引っ張った。脱いで、という合図だ。律史はそれを脱ぎ、わたしはさらにTシャツも脱がせてしまう。
(どうしよう。素敵すぎるよ……)
 三年ぶりに見る律史の身体は相変わらず引き締まっていて美しく、カッコいい。思わずそっと撫でると、
「沙理、本当にいいの? 俺、もっと時間をかけたほうが……って思ってたんだけど。でも、沙理がいいって言ってくれるなら……」
 律史がちょっと戸惑った様子で言った。
「言ってる意味わかんないよ。わたしたち、元夫婦なのに? 早く、しよ」
 微笑みながら律史のデニムパンツに手をかけると、
「途中でやめてくれっていっても、もう無理だからな」
 律史がちょっと怒ったように言って、いきなり押し倒してきた。
 わたしが着ていたのは普段着のミントグリーンのシャツにボトムはデニムだったのだけど、律史は器用なのであっという間に脱がされた。
「沙理。相変わらずきれいだ……」
 律史はつぶやいて、ぎゅっと抱きしめてきたかと思うと、深いキスをしてきた。
 わたしもつい、もっと、と縋りつくように舌を絡める。
 両脚の間に律史の身体が入り込んできたかと思うと、律史の左手が押し倒されているわたしの背後を通り、肩を掴んだ。
 再びキスが降りてきて、今度は耳元や、顎の先にも唇が触れた。ちゅっちゅっと、音が耳に響く。
 ずっと息が上がっていて、ムズムズとした感覚が体中を走る。キスに気を取られていると今度は、律史の右手が胸を掴んで、二、三度揉みしだいたかと思うと、指先で乳首を軽く押した。
 びくん、と体が反応して、ずり上がりそうになるのに、背後から回された腕で肩先を抑えられているから動けない。
 身体の熱が一気に上がり、キスされながら喘いでしまった。
「っん……あ……」
「乳首、もうガチガチになってるじゃん。沙理、めちゃくちゃ可愛い……」
 こういうときに、律史が囁いてくれる甘い声がわたしは大好きで、別れてからも本当は、何度も何度も反芻した。それで自慰することもあった。
「あ、あぁん……律史……お願い」
「ん……。じゃ、いっぱい舐めてあげる」
「ぁ、ああっ、やぁ……」
 律史の唇が乳首を捉えた。最初は唇で挟むように……そのうちに舌が乳輪をなぞるように動きだして、次に軽く吸い上げられた。
「あっ、あぁぁっ」
 下腹部の奥から何かが溢れ出してくる。たぶんもうすでに、濡れていたと思うのだけど、
(どうしよう。たぶんいっぱい、出ちゃってる……)
 恥ずかしくて、切ない。
 わたしは律史しか知らないけれど、初めてのときからずーっと、律史のやり方は大好きで最高だと感じていた。だからほかの男性には全く興味が持てない。そんなこと、考えるだけで気持ち悪いと思ってしまうほどだ。
 律史が良くて律史に抱かれたくて。いつもわたしはそれだけだった。
(あ……やばい。ほんとに流れてる……)
 堪えたくても、脚を閉じることができないので、無理。もどかしさに襲われて、かえってお腹の奥がどんどん熱くなっていく。
「あ、あ、あんっ、ううっ」
 声が漏れてしまう。広い座敷に響いているようでなんだか落ち着かない。ここで、この家でまさかこんなことをするなんて思いもしなかった。
 舐められて刺激を与えられている粒の、もうひとつのほうは、時折指の腹で押されたり、指先で抓られたり、軽く撫でられたり……。だんだん、何も考えられなくなっていって しまう。
 そのうちに……。唇が離れ、右手が脚の付け根へと移動した。まだショーツだけ身に着けていたのだけど、律史は太腿を撫でつつ、しだいにショーツのクロッチ部分に優しく指でタッチしてきて──。すっかり染みていることを確認され、敏感な部分を布越しに擦られて、腰がピクリと跳ねた。
「ぁあっ……」
「すごい濡れてる……。沙理、うれしいよ、俺……」
 ふと見ると、律史の目がどこか潤んで見えた。
(どうして……?)
 不思議に思いながらも、わたしは律史のデニムパンツに手をかけた。横になったままだから力が入らず、脱がせたりできないけど、もう、脱いで欲しい……。
「ん……」
 律史が体を起こし、デニムパンツを脱いでしまった。そしてわたしの上に戻ってきた。両脚が開かれる。
 軽くキスされ、舌を絡めるとすぐに指先がクロッチの内側に入ってきた。確かめるように入り口の辺りに指を滑らせながら内側まで入れてしまい、溢れる蜜を混ぜるように動かした。最初は人差し指だけ。それが次第に中指と二本になり……。
 じゅぶじゅぶ、いやらしい音が座敷に響く。
「あ、あ……。あ、あぁんっ」
 指先で内側をなぞられる感覚も三年ぶりで、それだけで子宮のあたりがぎゅっと縮む感じがする。きゅんっ、と引っ張られる感じ。
「ん。このへんかな」
 内側、恥骨の裏側あたり……指で軽く押された。
「あ、あぁぁっ」
 思わず声が出てしまう。律史だけが知っている、わたしの気持ちいいところ……。
「あ、やだっ、あ、あぁぁ……。そこ、だめぇぇぇ」
「うん、ダメだよね、ここ。知ってる。気持ちいいんでしょ?」
 律史は優しいけど、たまに、意地悪……。
 身が縮むたび、奥がひくつくたび、どぷ、と蜜が噴出してくる。足をバタつかせ、呼吸を荒げた。
「あ……、あ、あ……」
 軽く痙攣するたび、ぶしゅ、と蜜が噴き出てくる。恥ずかしい……。
「どんどん出てくるね。もう、びしょびしょだよ。可愛い。本当に可愛いよ、沙理……」
「や、あ、あぁぁん……」
「すごいな。まだ指だけなのに、すごい締めつけてくる。もしかして、奥はだいぶきつくなってるのかな」
「……律史がいなくなっちゃたから……そうかも」
「誰かと付き合ったりは、しなかった?」
「そんな相手、できるわけないでしょ、わたしに……」
「何言ってるんだよ。沙理がその気になったらそんなのすぐだよ。だから……心配してた。でもそうか……いなかったんだね、良かった。沙理のここは、ずーっと俺だけのものだよ。俺はうれしいよ。あっやばい……」
「どうしたの?」
「それ聞いたらうれしくて、すごい興奮してきちゃった」
 律史がボクサーショーツを脱ぐと、久しぶりに見る律史のモノが現れた。わたしは体を起こしてそっと触れ、優しく撫でた。
「ダメ。今日は久しぶりだから、もうそれ以上触らないで。出ちゃったらヤバいだろ」
 そう言いながら律史はベッド下にあったリュックのファスナーを開けてちょっとごそごそしたかと思うと、避妊具を取り出した。
「ちゃんと、持ってるんじゃん」
 さっきは断ったくせに、と思いながら言うと、
「本当にそんなつもりは無かったんだけど、いちおう男のたしなみっていうか。万が一、とか。あーごめん、俺も、本当は沙理に会ったら我慢できるか自信がなかったんだよ」
 律史は言い訳しながら、避妊具をつけ、ぎゅっと抱きしめてきた。
「会いたかったんだよ、沙理……」

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