記憶をなくした子爵夫人ですが、護衛騎士の旦那様による独占愛が重すぎます!?

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記憶をなくした子爵夫人ですが、護衛騎士の旦那様による独占愛が重すぎます!?

著者:太田まりえ
イラスト:ぬるめのおゆ。
発売日:2026年 3月27日
定価:710円+税

ブレインジャー子爵夫人として、愛妻家の夫・バルドリックと平穏で甘い新婚生活を送るセレーネ。
大階段から転落し、以前の記憶をすべて失ってしまった彼女。
それでも、情熱的な夫に慈しまれ、確かな幸福を感じる日々を送っていた……。
しかし記憶の方は一向に思い出すことが出来ず、一抹の不安も抱えており――?
「私の可愛いセレーネ。このままイッてください――」
バルドリックの淫らな愛撫に翻弄される幸せで平穏な毎日が続くと思っていたセレーネ。
​しかし、次第にセレーネの脳裏には見知らぬ悪夢がよぎるようになり――……!?

【人物紹介】

セレーネ・ブレインジャー
ブレインジャー子爵夫人。
心優しくおっとりした性格で、周囲への思いやりや配慮を持ち合わせている。
階段から転落し、記憶を失ってしまっているが……?

バルドリック・ブレインジャー
子爵家当主でセレーネの夫。セレーネを心から愛している愛妻家。
領民に慕われる賢者であり剣の腕も一人前。
記憶を失う前のセレーネのことをよく知っているようで――!?

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【試し読み】

「セレーネ? 大丈夫ですか……?」
 低音の甘くとろけるような囁きに、寝台の上でやっと呼吸が整い始めたばかりのセレーネは、視線を声の主へと向ける。
「バル……」
 名を呼ばれたことへの返事の代わりに、セレーネの唇に啄むような口づけを一つ落とした夫、バルドリック・ブレインジャーは、天蓋つきの豪華な寝台に横たわる彼女を見下ろして妖艶な微笑を浮かべた。
 闇に紛れそうなほどに濃い黒髪と、意思の強そうな形の整った眉。情欲の翳りで濡れた漆黒の瞳。すっと通った鼻筋に、ゆるく弧を描く薄めの唇。
 その下に、鍛えられた胸板と引き締まった腹筋という、子爵家当主の肩書きからはかけ離れた均整のとれた肉体が、惜しげもなく晒される。
(綺麗……)
 こんなときだというのに、蝋燭の仄かな明かりに浮き彫りにされた夫に見惚れたセレーネは、無自覚にも、気だるい右腕を持ち上げ、バルドリックの少し長めの髪をそっと掻き上げた。艷やかな黒髪の下、こめかみの少し上のあたりに、何か鋭いもので引っかかれたような傷が隠れていることを彼女が知ったのは、いつだっただろう。
 妻の動きが予想外だったのか、驚いたように一瞬だけ目を見開いた彼は、けれど、嬉しげに微笑みを深める。
 強力な魔除けの力を持つと言われる黒曜石。ガラス質で脆いのに、一度欠ければ、その鋭利さ故に武具としても珍重されるというその石に、バルドリックの瞳はよく似ている、と思う。
 その一方、そこに映し出されるセレーネの容姿は、おそらく、ノーウェル王国ではあまり見ない類のものだ。
 ゆるく波を打つ、腰までの長さの青みがかった銀の髪。
 少し低めの鼻と、ある種の子どもっぽささえ感じる、ぷっくりとした唇。
 邪な思いを抱く者であればどことなく縁起の悪さを覚えてしまうであろう、神秘的な紫色の瞳。
 日焼けしたこともなさそうな白い肌と凹凸のくっきりした肉体だけは、この国での美女の基準を満たしているから、物珍しい色合いの髪や瞳の色と幼い顔立ちを差し引いても、ぎりぎり及第点といったところか。
 そんな自分を、目の前のバルドリックが一切の曇りのない愛で包みこんでくれることに、多少の疑念と不安を覚えないこともない。
(なぜこんなにひたむきに愛してくれるのかしら……?)
 ぼんやりと黒髪を梳いているセレーネに、何か案ずるように眉根を寄せたバルドリックは、セレーネ、ともう一度彼女を呼んだ。
「何を考えているのです?」
 自分よりも年上のはずの彼が自然な様子で敬語を使うことも、最初は不思議に思ったが、そうしたいのだ、と、言い切られてしまえば、否とは言えなかった。
「……バルのこと。綺麗だと思っていたの」
 それを聞いて、バルドリックが喉奥を震わせて小さく笑う。
 そして、セレーネの右手首を掴むと、その手のひら――ちょうど親指のつけ根と手首の境界に唇を近づけた。
「おかしなことを。貴女の方が、ずっとずっと美しいのに」
「……ふ、ぁ……」
 愛妻の右手の薄い皮膚を食むバルドリックは、セレーネの甘い吐息にことさらに気を良くしたのか、舌先で手首をなぞり始めた。
 美麗な男の赤い舌がちろちろと彼女の白い肌を舐める光景に、退廃的ないやらしさを覚え、セレーネの頬が熱を帯びる。それと同時に、自分のものではない粘膜によって生みだされる、むず痒いような切ないような快感が腕から胸へ、胸から下腹部へ、じわりと漣の如く広がっていく。
「お願い、バル、……もう――」
「仰せのままに」
 バルドリックが、ふっと喉奥を震わせた直後、親指のつけ根に触れるだけのキスが降る。物足りなさを覚えるより先に、身のこなしも鮮やかに眉目秀麗な夫が素早く体勢を変えた。今度は鳩尾を男の指がなぞるのを感じ、明確な意図を持つそれは、そのまま、セレーネの下肢の合わせ目に辿り着く。
「んっ、ちがっ! ぁ、待っ……今夜は、もう――……」
 セレーネの嬌声をかき消すように、ぐちゅん、と淫らな水音が部屋に響いた。
 つい先ほどまでさんざんにバルドリックの陽根に突かれ、とけそうな快感に打ち震えていた蜜壺は、まだ充分にやわらかく熱を持ち、男の指を難なく咥え込む。
「ここは、まだ物足りなさそうですが……?」
 言葉以上に饒舌にセレーネの痴態を説明する隘路が、二本に増やされたバルドリックの指の動きに合わせ、くちゅくちゅと淫猥な音色を奏でる。
「んぁっ、――それ、だめ……こぼれちゃ……」
 反射的に発したセレーネの微かな言葉も、バルドリックは聞き逃さなかったらしい。
 それまで隘路に挿し込んだ指先だけを使って媚肉を摩擦していた彼は、わざとらしく一度だけ奥を穿ち、手のひらのつけ根で秘珠を捏ねる。そして、セレーネが甘い声を上げる暇もない素早さで、自身の指を一気に引き抜いた。
 まるで、何がこぼれてしまうのか、わざと教えてくれているかのような行為だ。
 器用にも鉤状に丸められた指によって、吐精の残滓と濃厚な淫蜜がたっぷりと掻き出され、そのぬるい液体が秘裂から臀部を伝い、シーツへとこぼれ落ちる気配がする。
「ああ、そのようですね。健気にもびくびく震えて、さっき私が放った精を一滴も垂らすまい、と、しているかのようだ……」
 ふと気づけば、セレーネの大きく開いた両腿のあいだに腰を落ち着けた彼が、自身の手技に耽溺する蜜口に、色香を孕む双眸を向けていた。
 ごくり、と、バルドリックの喉が上下したような気がしたのは、錯覚だろうか。
「バル、そんなとこ、……見ない、で……」
 晩秋から始まり、ここ半年ほどの間、自分たちが肌を重ねた回数は、それこそ数え切れないほどだ。人目の有無に関係なく、セレーネに対してはひたすらに甘い夫だが、あるときには、それがいきすぎて、性技が濃厚すぎるほど濃厚になるきらいがある。
 セレーネ自身でさえ知らぬ亀裂をまじまじと眺められた経験もないわけではないが、何度その熱い視線を向けられても、慣れるものではない。
 恥じらいに合わせて下半身に力を込めれば、そのせいで、こぽり、と、また新たに彼女の淫蜜とバルドリックの欲望の名残が、襞の隙間から滴り落ちた。
「……っ、ふ」
 熱のおさまりかけた身体に、その刺激はむしろ生々しく、セレーネの口からこらえきれない吐息が漏れる。
「セレーネ。もう一度だけ――」
 前の晩も、またその前の晩も、さらには、その前の晩も――。
 同じように懇願されて、記憶がなくなるほどに愛された。いくら閨に関する知識が乏しいセレーネでもそれが普通ではないことは理解しているが、バルドリックの願いを断ることができた試しなど、一度としてないような気がする。
「んっ、もぅ……ずるい、……バルに頼まれたら、嫌って言えないのに――」
 セレーネの返答を事前に察していたのか、機嫌よく口角を上げた美丈夫は、掻き出されたふたり分の体液を蜜口から拭うと、すでに臨戦態勢で天を向く自身の陽根をそこへあてがう。
 そのまま、ふたりの淫液をぬりつけるように、切っ先を秘裂になすりつけるような動作を数回。次に来る愉悦への期待に、セレーネの隘路が戦慄いた瞬間、まるでそれを予見していたかの如き正確なタイミングでバルドリックの雄芯が彼女の秘処を穿った。
「あぁ、……っ!」
 ぐっと押し込まれる衝撃に痛みはなく、むしろ幾晩にもわたって教え込まれた男のカタチに馴染みのある安堵と法悦を覚える。
「バル……」
 何です? とでも問いたげな漆黒の眼差し。その双眸にひた隠しにされた彼の情欲を示すかのように、熱を孕んだ肉襞をこそぎながらやすやすと最奥にたどり着いた陽根は、セレーネの弱いところに的確にぶつけられる。
「……んんっ、……あぁっ!」
 ぐっと淫窟を押し広げられる快感に恥ずかしいほどの喘ぎ声が漏れそうになり、セレーネは、キスをねだって両手を彼に伸ばした。それでも、彼女のささやかな願いが聞き届けられるのはまだ先のようで、意図を察したバルドリックにあっさりと首を横に振られる。
「まだもう少しだけ我慢してください。こちらも可愛がってあげなくては――」
 そう言いつつ、蜜路の奥の奥に熱杭を突き当てたまま、バルドリックが伸び上がるようにして上体を倒し、今度はセレーネのふたつの大きなふくらみに顔を寄せた。
 彼が迷うことなく唇を近づけたのは右の乳房で、ぷっくりと立ち上がる真っ赤な果実はたちまちやわい粘膜に包まれる。
「ぁ、あああっ!」
 ぢゅう、と小さく淫らな音を響かせて吸い上げられたそこから、過敏になった神経を愛でられるような直接的な快感が全身へと広がった。
「気持ちいいですか――?」
「ん、んんっ。いい、……気持ち、い……ぁ、あああっ!」
 公平を期するためだろうか。
 右の乳嘴が丹念に舌と唇で舐められるのに加えて、左の乳房は、少し節ばった男の大きな手に包みこまれた。全体を数度にわたって揉みくだされ、また下腹部に淫靡な熱が籠もり始めるのを感じた頃合いで、そっと先端の飾りを親指の腹で押しつぶされる。
「――ゃあ、んっ……!」
 両胸の最も繊細な突起が、一方は唇で、もう一方は指先で、同時に刺激された瞬間、セレーネの背が弓のように大きくしなった。
 直後、シーツとの狭間に滑り込んだ手に背中を支えられ、そのまま上体を抱き起こされる。
「さあ、こっちへ……」
 誘われる間もなく、寝台に座したバルドリックの上に腰を落ち着けるかたちとなったセレーネは、広い肩に両腕を預け、縋る思いで逞しい彼の肉体に身体を寄せた。
 挿入の角度を変えたことで、蜜窟の中に収まった長大な雄根が、彼女のお腹の辺りをナカから押し広げる。
「バル――」
 不明瞭な呼びかけは、やっと与えられた口づけで消えた。
 セレーネの唇の隙間に難なく舌を滑り込ませた彼は、あっさりと彼女のそれを絡め取ると、くすぐるようにして味蕾をなぞりあげる。
「ん、んむっ……!」
 まるでそのまま食べられてしまうかのような倒錯的な快感に背骨が震え、身を捩った拍子に、よりいっそう強く押しつけられた厚い胸板に自身のふたつのふくらみがぐにゃりとかたちを変える。痺れるような甘い法悦がふたりの結合部へと走った。
 お腹いっぱいになるまでバルドリックを呑み込んでいるはずなのに、彼の方にはまだ余裕があるようで、セレーネの背中から腰に滑り降りた左手がそっと尾骨を撫でる。そこも彼女の弱いところだと、――何もかもを知り尽くした動きに、セレーネはただ翻弄されるばかりだ。
「――っ、……ん、んんっ!」
 たたみかけるように与えられる快感と軽い酸欠に、朦朧とした頭が思考を止める。
(全部、気持ち、いい……)
 ぐりっと真下から腰を打ちつけられ、行き場のない愉悦が身体の中に溜まっていくかのような錯覚を覚えた。
 そうしている間にも、舌先で歯列を辿り、内頬のやわらかな肉を舐めていたバルドリックが、しぶしぶといった様子で唇を離した。名残惜しげにもう一度、触れるだけのキスをした彼は、欲情しきった眼差しを隠すこともなくセレーネの顔を覗き込む。
「ああ……貴女のナカが、波打って、絡みついてきます」
 うっとりとそう囁く夫は、さも嬉しげだ。
「気持ちいいのですね……?」
 問いかけのかたちを取りながら、その実、恥ずかしいほどの甘い吐息を押し殺すので忙しいセレーネに、返事は求めていなかったのだろう。ぐちゅぐちゅと卑猥な音を奏で、律動のペースを上げた彼は、毎晩のことながら、妻をとことんまで快楽の底に落とすと決めているらしかった。
 甘ったるくも悪戯に、――あるいは意地悪にそっと口角を上げると、バルドリックは、セレーネの背中を支えていた右手を音もなく彼女の前へと動かした。
 決して乏しいとは言えない彼との閨での経験から、これから夫が何をするつもりなのか察したセレーネが、弱々しく首を振る。
「セレーネ。逃げないで――……」
 命じるような、それでいて、必死に乞い願うようなかすれた低音が、耳に直接注ぎ込まれた。彼女の鼓膜だけではなく、魂までも震わすような魅惑的な声だ。
 普段から冷静で、なぜかまるで自分を律するかの如く、セレーネに対して敬語を崩さない夫は、けれど時々こうして、言葉遣いを乱すことがある。取り繕う余裕もない、といわんばかりのその切実さに、いつだって絆されてしまうのも事実で、今宵もまた、セレーネは羞恥を押し殺してそっと両腿の力を抜いた。
(だって、嬉しいのだもの。バルが本音を言ってくれてるみたいで……)
 夫婦の繋がり合う場所に一瞬だけ視線を落としたバルドリックが、またも彼女の瞳を覗き込んだ。
 迷うことを知らない右手がセレーネの下肢に触れ、陽根を呑み込む蜜窟の入口へと辿り着く。そのまま、熱をもった二枚の淫襞をかき分ける指先に、羞恥と期待で背筋が震える。
「バル……」
 わかっています、と言いたげに目尻を微かに下げた美丈夫が、滴る甘露を指に絡め、そして優しい手つきで淫核に触った。けれど、ひたすらに優しいのは指先だけで、器用にも同じタイミングで彼女の上体を抱き寄せ、自身のそれで両胸を押しつぶすことを忘れない。その上、突き立てられている熱い楔でぐりぐりと最奥を穿たれてしまえば、ひとたまりもない。
「ぁあ、あああっ――!」
 バルドリックに抱きかかえられているだけの不安定な体勢で、過剰に与えられる快楽を逃がすすべもなく、セレーネはただ脳を焼きそうなほどの愉悦に悶える。
「あ、ああっ、バル、待っ……!」
「私の可愛いセレーネ。このままイッてください――」
 反論は許さない、という意思表示だろう。嬌声のひとつも漏らすまいとするかのように、唇を唇で塞がれ、舌を引き摺り出されて、男の口内へと招き入れられる。
 たらたらと淫液を垂れ流す敏感な媚肉では、バルドリックの男根によって絶妙な力加減で擦られるたびに、言いようのない快感が次々と生まれ、そして全身へと広がっていく。
(気持ち良すぎて、もう……無理……)
 蜜路がきつく収縮するのがセレーネ自身にもわかった。みちみちとしたそこを限界まで広げているバルドリックにも、当然のことながら、それは伝わっただろう。結合部の真上でほころぶ蕾をいじっていた指が、そっと二本に増やされる。
 次の瞬間、ぐにゅと淫核をつままれ、強すぎる快感にセレーネの背骨が大きく反り返った。
「ん、んんっ――!」

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