仮面夫婦の公爵夫人ですが、別居中の冷酷旦那様がなぜか離縁してくれない

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仮面夫婦の公爵夫人ですが、別居中の冷酷旦那様がなぜか離縁してくれない

著者:逢矢沙希
イラスト:コトハ
発売日:2026年 1月30日
定価:720円+税

 

ローマイヤー伯爵令嬢アニスと、エヴァレット公爵カルヴァンの結婚は政略的なものであった。
氷の公爵と呼ばれているカルヴァンだが、アニスは彼となら穏やかで優しい家庭を作ることができると期待していた。
「安心していい、止めるつもりはないから」
最初の情事の際も誠実ながら淫らで激しいカルヴァンの愛撫にアニスは蕩けさせられていく――。
彼とともに過ごす時間は、いつだってアニスに優しい幸福を与えてくれた……はずだったのだが!?
結婚も五年が過ぎた今、アニスはエヴァレット公爵家の領地で、たった一人で夜を過ごしていた……。
カルヴァンからの指示により、現在、二人は別居しているのだ。
別居してから四年目を迎え、二人の関係が果たして夫婦と言えるのかと離縁を考え始めるアニス。
そんなある日、アニスが突然倒れてしまい――!?
目を覚ましたアニスはカルヴァンと対面するも、なぜか彼は離縁を許してくれないようで――?

【人物紹介】

アニス・エヴァレット
エヴァレット公爵夫人。
物静かで大人しい雰囲気で、いつも柔らかい笑みを浮かべている。
仮面夫婦の生活をやめようと離縁を考えているが……?

カルヴィン・エヴァレット
若き公爵家当主で、アニスの夫。氷の公爵と呼ばれている。
穏やかな性格で、常識的かつ保守的なものの考え方をする。
アニスからの離縁を許さないものの、なぜかその理由は教えられないようで――。

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【試し読み】

  アニスの新たな発見は、晴れて夫婦となり、初めての夜を迎えた床でも続いた。
「あ、あの……カルヴァン様……す、少し、怖いです……」
「ずいぶん緊張しているね。大丈夫、私はあなたを傷つけようとしているわけではない。少しずつ身体の力を抜くよう意識してごらん」
 頬を染め、恥じらいながら訴えるアニスを見つめるカルヴァンはそう言って優しく目を細めた。
 真っ白で清潔なシーツの上で、アニスの長い髪が波打つように広がる。
 その髪を幾度も撫でながら距離を詰め、二度目の口付けを交わしたが、その口付けは最初のときとはまるで違った。
 触れるだけだった誓いの口付けとは違い、初夜の床での口付けは少しの隙間もなくピタリと重なり、より強く、より深く、呼吸さえ奪われるのではと感じるものだったから。
 口内で直接互いの舌を絡め合う行為なんてこのときまでアニスは知らなかったし、日頃優雅な物腰の青年だと思っていたカルヴァンのその青い瞳に、強い欲情が浮かぶ様なんて想像もしていなかった。
 それらに驚いてつい出てしまったのが、先ほどの言葉だ。
 口にした直後、この場においては相応しい言葉ではなかったのではないかとすぐに後悔したが、アニスの予想に反して彼女を組み敷きながら、カルヴァンは笑った。
 これまで彼女が知る優しく穏やかな笑みとは少しだけ違う、野性味を感じさせる笑みで。
「こういう口付けは初めて?」
「も、もちろんです。口付けそのものも、あなたとしか……」
「そうか。それはそうだろうね」
 良かった、余計な邪魔者を始末せずに済んで。
 肯いた後にそんな不穏な言葉が続いたように聞こえたが、気のせいだろうか。
「あの、今、何か……?」
「何でもないよ。それより、夫婦の行為が嫌なわけではないのだね? これから先、口付け以上のことが続くけれど」
 改まって問われると、ただでさえ未知の行為に緊張している身体が余計に強ばってしまいそうになる。
 けれどカルヴァンは「嫌ではないか」とは訊いたが、「怖くないか」とは訊かなかった。
 つまりはこういった場で女性が多少なりとも怯えを抱くということを、彼は許容してくれている、ということだ。
 そのことに少しホッとした。恐怖そのものを面倒だと思われてしまったら、今のアニスにはどうすることもできそうにないから。
「はい……嫌では、ありません。ですから、あの……止めないでください……」
 この夜のために、ずいぶん前から覚悟していた。
 今さら怖いから止めてくれなんて言うつもりはないし、逆に中断されてもその後が困ってしまう。
 そんな気持ちで止めないでほしいと訴えたのだが、この言葉を耳にしたカルヴァンには違う意味に聞こえたのかもしれない。
 まるで積極的に彼自身を求めているかのような言葉だと彼女が気付いたのはその直後だ。
 とたんにこれまで以上に頬を真っ赤に染める彼女を前に、彼は再び笑った。
 嬉しそうに、そして先ほど以上に野性的に。
 上品な彼の顔の下に、何か触れてはいけない獰猛な生き物がいて、アニスはそうと知らずうっかりその獰猛な生き物に触れてしまったのだろうか。
 そう思わせるような笑みだった。
「安心していい、止めるつもりはないから。嫌でないのなら、良かった。痛くないように……とは言えないけれど、できるだけ優しくすると約束する。だからアニス、私に任せてくれるね?」
 このときアニスは黙って肯く以外に、何ができただろう?
 再び彼の唇が降りてくる。
 寸前でぎゅっと目を閉じれば、しっとりと重なった彼の唇がアニスの唇の形を確かめるように軽く食んで、そのあわいを熱い舌が辿ってくる。
 先ほどの経験から、唇を開け、と言われているのは判った。
 従ってぎこちなく引き結んでいた唇を綻ばせれば、すかさず彼の舌が内に差し込まれてアニスの口内を蹂躙する。
「ん……ふ、あむ……っ……んんっ……」
 口を塞がれているから、どこで息をすれば良いのか判らない。
 どうにか息継ぎをしようとしても、口を開けば開くだけ深くを愛撫されて、妙な声が漏れてしまう。
 息ができなくて苦しいはずなのに、互いの舌を絡め合い擦り合わせるたびに、ぞくぞくと背筋を震わせる刺激の波に翻弄されて、次第に強ばっていたはずの身体から力が抜けてしまった。
「はっ、はぁ、はあ、は……」
「ほら、ゆっくり息をして。呼吸は鼻でするんだ。もう一度してみようか」
 大きく息を吐かせるために一度解放された唇が、再び封じられる。
 教えられたとおりに鼻での呼吸を意識すると、確かに先ほどより楽にはなったが……
「んむ、んんっ、ふ、んっぅ……っ」
 それでも荒く乱れた呼吸が整うことはない。
 口付けだけですでにいっぱいいっぱいのアニスをさらに攻めるのはカルヴァンの手だ。
 彼の大きな手の平が、口付けで喘ぐアニスの身体の線を辿って、ナイトドレスのリボンを緩めていく。
 初夜に合わせて用意された衣装は、ただ軽くリボンを引くだけでいとも容易くほどけ、その下の肌を顕わにしてしまう。
 自分の肌がはだけられているとアニスが気付いたのは、肌に直接触れられたそのときだ。
「あっ……」
 咄嗟に身体を隠そうと腕を上げたけれど、その手を掴まれてシーツの上に押しつけられてしまった。
 大きく見開いた目に、自分をまっすぐ見つめるカルヴァンの青い瞳と、口付けを解いた唇の合間から覗く舌先が見えた。
 ただそれだけのことなのに、妙に生々しく感じるのはどうしてだろう。
 自分でも説明のつかない感覚にカアッと全身の体温が上がって、顔だけでなく全身の肌という肌が色づいていく。
 そのアニスの頬に彼の唇が落ちた。
「ん……」
 その口付けは頬から顎を伝い、首筋へと移動して、彼女の薄い肌を甘噛みするように歯を立てる。
「あっ」
 かと思えば強く吸われて、ピリッとした小さな痛みに肩が跳ね……しかしすぐに慰撫するようにそこを舐められて、ぶるっと身が震えた。
 小さな痛みを伴う口付けは、いくつも続いた。
 鎖骨から、胸の上、乳房の谷間。
 そのたびに小さく身を震わせながら、身体の奥から込み上げる奇妙な感覚に耐えるのに必死になって、アニスは押さえつけられていた自分の両手が、いつのまにか自由になっていることにさえ気付かない。
 呼吸に合わせ、揺れる豊かな二つの乳房を、掬い寄せるように掴み上げられたときには、もう与えられる愛撫に夢中になっていた。
「華奢な身体のわりに、胸はずいぶんと豊かだ……それなのにここは慎ましいのだね」
 ここ、とはどこのことかと視線を彷徨わせるように胸元を見やれば、今まさに彼の指が芯を持ち始めた胸の先を、きゅっと摘む。
「ああっ……っ!」
 手の平全部を使い乳房を揉み拉きながら、尖ったその先を捏ねるように弄られると、経験したことのない身を引きたくなるような強い刺激に身体が揺れた。
 肌を見られるのも、触れられるのも初めてだから、もちろんそんなところを弄られるのも初めての経験だ。だから、少し固い指先でそのてっぺんを擦られると、背を仰け反らせるほど強い刺激があるなんて知らなかった。
「あっ、あ、あぁっ……!」
 その感覚が怖くて胸を掴む彼の手を押さえるも、カルヴァンは手を止めるどころかその先へと食らいつくように吸い付いてくる。
「あぁんっ!」
 熱い舌で舐るように愛撫されると、指で弄られるのとはまた違う感覚に、アニスは高い声とともに身もだえしながら無意識に両足を摺り合わせた。
 カルヴァンの愛撫は、逆の胸に移動する。
 彼の唾液で濡れた乳嘴が空気に触れ、冷える。そんな些細な感覚さえ初心なアニスの身体を震わせて、呼吸をさらに乱れさせていった。
「あ、あ、あぁっ……! や、何か……」
 再び、両足が揺れた。その奥の何かを隠すように。
 彼女のそうした反応を、カルヴァンは見逃してはくれない。
「何かって何?」
 ちろ、と胸の先を舐めながら問われても答えることなどできなくて、アニスは真っ赤な顔で首を左右に振るだけで精一杯だ。
 だけど自分の身体に起こっている変化は、なんとなく判っていた。
 だって、何かが身体の奥から溢れて、そこが濡れている。それが男性を受け入れるための準備が進んでいる証拠だということは花嫁教育で事前に教わった。
 ただ……実際に、これ以上先へ進むと自分の身体がどうなるかなんて細かいことまでは教えてもらっていない。
 怖い、と思う気持ちと、この先を少し期待する気持ちに両方に襲われながらぎゅっと目を閉じる。
「アニス」
 するとすかさず名を呼ばれ、ぎこちなく目を向ければ、せっかく開いた視界を再び閉ざすようにカルヴァンが唇を重ねてきた。
「んぅ」
 その口付けは執拗だ。
 唇を合わせ、舌を絡ませ、唾液ごと啜るように舐め取りながら吸い付いてくる。
 かと思えば口付けで意識が逸れたアニスの身体に申し訳程度に残っていたナイトドレスを全て剥ぎ取られて、一糸纏わぬ姿にされた。
 閉じていた両足をぐいっと左右に大きく広げられたのは、長い口付けの余韻を残すように二人の唇を繋いでいた透明な糸が断ち切られた直後のことだ。
「あっ!?」
 開かれた膝を肩に担ぎ込むような姿勢で股ぐらを覗かれて、さすがに抵抗してしまった。
 けれどカルヴァンはそんな抵抗などなかったように彼女の身体を優しく押さえ込んで、その内腿に口付ける。
「あ、あぁ……」
「大丈夫、あなたの身体は、私の前で隠さなければならない場所なんて一つもない。ここも、まるで咲き始めた薔薇の花のようだ。初々しく綻んで……朝露で濡れている」
 彼に掛かると、秘めておかなくてはならない恥ずかしい場所も、とたんに愛らしく美しい花に様変わりしてしまうようだ。
 隠す必要などないと言われても全身を襲う羞恥を堪えることなどできないが……しかしカルヴァンがアニスのそこに唯一触れることが許されている夫なのは間違いない。
「カル、カルヴァン様……恥ずかし……っ……」
「恥じらうあなたはとても可愛らしい。けれど、私のために少し我慢できないかな?」
 言い様、彼の指がそこに触れた。
 閉じている花びらに触れるように襞を開いて、秘裂をなぞり、入り口から溢れ出る愛液を塗り広げていく。
「あぁ、あ……ん、……はぁ……」
 激しい刺激ではないけれど、じわじわっと滲み広がるような感覚に腰が揺れた。
「こうされるのは気持ち良い?」
 その低くも麗しい声で問われて、またアニスの身体がピクッと揺れる。
(気持ち良い……? そう、ね、気持ち良い……のかもしれない……いいえ、私……気持ち良いんだわ……)
 自分で自分の身体の感覚を一つ一つ確かめるように追いかけながら、気がつけばアニスは肯いていた。
 羞恥で身を薔薇色に染めたまま。
 彼の唇も、舌も、手も、肌に触れる彼の吐息さえも、今のアニスには全てが快感に繋がる。
 誰かに触れられて、こんなふうに感じるようになるなんて知らなかった。
「ここは? 痛むかな」
 アニスの身体を探るカルヴァンの表情は真剣だ。どんな小さな反応も見逃さないと言わんばかりに熱を宿した瞳で見つめている。
 彼の指が濡れ襞の合間を上下する。
 繊細な場所を傷つけないよう、指の腹で。
「……ぁあ、は……あぁん……」
「アニス?」
「はぁ、あっ……ふ……ぁっ……」
 小刻みに幾度も身体の芯からぶるっと震えた。
 するとそれに合わせるように身体の奥から新たな愛液が溢れ出て、そこにある彼の指を濡らす。
 問われても、まともに答えることもできていないけれど、恍惚とした表情で彼の手に委ねながら艶めかしく身をくねらせる反応は、充分彼の問いの答えになるだろうか。
 やがて、そこからくちゅくちゅと粘ついた小さな水音が響くようになる。
 その音はひどく淫らに聞こえるのに、どうしてか興奮を誘う。
 口に出して言えない場所が痛いくらいに収縮し始め、腹の奥にどんどん熱の塊が蓄積していくようだ。
「痛くはなさそうだね。……ここはどう?」
 低く問いを重ねながら、カルヴァンの指が一本、アニスの膣口を潜って中へと忍び入ってくる。
 綺麗な顔をしていても、その身体は間違いなく成人男性のものだ。
 当然その指もアニスのものより太く長く、その指で中を拓かれるように内壁を撫でながら抜き挿しされると、わななくそこがぎゅうっと彼の指を食い締めて波打つように蠕動し始めた。
「あ、あ、あっ……」
「これも痛くはないか……じゃあ、これは?」
「っ……!」
 指が二本になると、さすがにピリッとした痛みが走った。
 でもそれも僅かな間のことで、彼が丹念に中を解すように動かす内に、次第に痛みは消えていく。
 その代わりに焦れるような疼きを与えながら。
「あ、あっ……あっ……ああっ!」
 内に入り込む方とは逆の手指で、秘裂の上部に顔を出した花の芽を擦るように擽られて、ビリッと駆け抜ける強い刺激に驚いた腰が大きく跳ねた。
 心なしか彼の指を食い締める内部の締め付けも強くなった気がする。
「あっ、あ、な、なに……?」
 ビクビクと下半身を揺らしながら困惑するアニスの反応に、カルヴァンは笑った。
 冷静を装った、けれどその実飢えた獣のように乱れた呼吸を繰り返しながら。
「ああやはりここは感じるのか。……一度気をやろうか、アニス。私もそろそろ辛い」
 何が辛いのかは訊けなかった。
 直後彼がそこへ顔を埋めるように寄せて、顔を出したアニスの花芯へと吸い付き、舐めしゃぶり始めたからだ。
「ああああっ!?」
 信じられない光景だった。
 大きく押し広げられた自分の両足の間に彼の顔が埋まっているなんて。
 そんな場所に直接口をつけられることもそうだが、カルヴァンが女の身体を高めるためだけに奉仕するなんて、普段の彼の姿からは想像もできない。
 けれど余計なことを考えていられたのはごく僅かな間だけのことで、視覚以上にあり得ないほど強烈な愉悦に襲われて、アニスの身体はあっと言う間に極みへ達し、胴震いを起こすようにその腹の奥に溜めていた熱を弾けさせてしまう。
「うっ、うっ……っ! ああああっ!!」
 腰が大きく跳ね上がる。
 一度きりではなく、二度、三度とまるで陸に上がった魚のように。
 それと同時に内側の彼の指をこれまで以上に締め上げて、溢れ出たもので寝具を濡らしてしまう。
 彼の指が抜かれても、ひくっ、ひくっと物欲しげに入り口をわななかせながら全身を弛緩させるアニスのそこに、ぐりっと熱い灼熱の塊が押しつけられるのはすぐだ。
「あぁっ?」
 重たい睫を上げるようにそちらを見れば、開かれたアニスの両足の間に彼が腰を落ち着けている。
 はだけられた寝間着のシャツの合間から、意外に逞しい胸板が汗で濡れ光り、続く彼の腰へと視線を下げようとして、それに気付いたカルヴァンに止められた。
「あまり見ない方が良い。ここで怖いと泣かれてしまっても、止められる自信がないから」
 ということは、これより下ではアニスが怖いと訴えかねないモノが存在している、ということだ。それが何を指しているのかは、薄々と理解してしまった。
「……っ」
 こくこくと肯いて、神に祈るように手を組み合わせるとぎゅっと目を閉じた。
「まるで悪魔に捧げられた生け贄みたいだな。でも、間違ってはいないのかもしれない」
 また彼が笑う。
 笑って、その先端を幾度かアニスの秘裂に押しつけながら、上下させる。
 指とも、舌とも違う感覚に「あぁ……」と溜息に似た嬌声が漏れたその直後だ。
 ぐいっとアニスの入り口を割って、熱く、硬く、長大なモノが内側へと沈んできたのは。

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