二度目の恋は蜜愛 ~再会した肉食御曹司に翻弄される~

書籍情報

二度目の恋は蜜愛 ~再会した肉食御曹司に翻弄される~


著者:春密まつり
イラスト:千影透子
発売日:2022年 5月27日
定価:620円+税

営業課に新しく異動してきた男性に莉緒は驚いた。
なんとその人は、六年前に別れを告げられたが未だに忘れられずにいる男性――孝士郎だったからだ。
気さくに話しかけてくる孝士郎に、気まずい気持ちを抱えたまま過ごしていた莉緒だったが、彼の歓迎会が行われた夜、酔った勢いで一夜を過ごしてしまう。
その日をきっかけに、孝士郎は莉緒を度々誘うようになる。身体だけ求められていると感じた莉緒は、断る口実に思わず「忘れられない人がいるから」と言ってしまって……。
「その人のこと、俺が忘れさせるから」
別れを切り出したのは、彼からだったのに……。莉緒を抱く彼の姿はまるでまだ自分を好きだと錯覚しまうくらい熱く激しくて――。

【人物紹介】

秋山莉緒(あきやま りお)
営業部に所属しており、現在は仕事を抱え気味の生活をしている。
孝士郎に振られてから、何人かとお付き合いしたものの彼を忘れずにいられずいた。

柏原孝士郎(かしわばら こうしろう)
莉緒の働く会社の御曹司であり次期社長で、海外支社から異動してきたエリート。
6年前、別れを切り出したのは彼からだが……?

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【試し読み】

 昔話や仕事の話をしていたら時間はあっという間に過ぎ、もう店内にも客はぽつぽつとしかいなくなっていた。カクテルも数杯のみ、二人とももう手が止まっていた。
「……そろそろ行くか」
 まだ話をしていたい。でももう遅い時間なのでこれ以上一緒にいることは難しいのはわかっている。
「どうした?」
「ううん。行こうか」
 それに、まだ一緒にいたいなんて言えるわけがない。莉緒が振りきるように立ち上がると彼はすんなりと会計を済ませてしまった。
「あ、払うよ」
「いいよ。誘ったの俺だし」
「……ありがとう。ごちそうさま」
 店を出ようとカウンターチェアから降りると、ふらついてしまった。すがるものが欲しくて、思わず孝士郎の腕に手を置いていた。
「大丈夫か?」
「あ、ありがとう」
 久しぶりにふれた彼の身体に激しく動揺する。バクバクと胸が鳴っているのはお酒のせいだけではない。
「けっこう酔ってるな」
「ちょっとね……」
 自覚があるほど、頭がふわふわしている。
「お前昔から酒弱いのに、強いカクテル飲むから」
「え、あれ強かったの?」
 甘くておいしいのでするする飲んでしまったけれど、通りでいつもよりもふわふわしている。気持ち悪かったりはしないのが救いだ。
「歩ける? ほら、俺に掴まって」
「う、うん……」
 孝士郎の身体に掴まりながら店を出る。ごく自然にさわってしまったけれど、久々にふれた彼の温度に途端に意識してしまう。けれどあえて離すのも不自然に感じられて、心の動揺を悟られないようにそのまま掴まっていた。このあと駅まで歩いて電車に乗って帰ることを考えると少し億劫だ。タクシーで帰ろうかと考えていると、莉緒の身体を支える孝士郎の手が肩に置かれた。
「どうする? 帰る?」
「……え?」
 彼を見上げると、真剣な目でじっと莉緒を見つめていた。
「俺的にはまだ一緒にいたい」
 見つめられながらの言葉に、莉緒の鼓動が跳ねる。まるで愛の告白をするような表情で言われたら、付き合っていた時のことを思い出してしまうからやめてほしい。でも、莉緒も同じ気持ちだった。
「そんな言い方、ずるいよ」
 莉緒が言えなかったことを彼はさらりと言ってしまう。嫌だと言えない自分が悔しい。
「行こ」
 莉緒が迷っていると孝士郎に手を強く引かれた。その手を振りほどけなかった。

 孝士郎に連れられるまま無言で入ったのはラブホテルだ。建物を見た時動揺と迷いがあったけれど思考がうまく働かず、中に入っていた。
「少し休んでな」
「う、うん」
 莉緒はベッド脇に座り、息を吐く。
 ここがラブホテルだというのは別にしても、休めるところに来たのは助かった。思ったよりもお酒が回っていたので引き込まれるようにベッドに寝転がっていた。
「……大丈夫か?」
 ジャケットの上をハンガーにかけた孝士郎は莉緒の隣に座る。場所が場所だけにベッドが沈んだだけでドキッとしてしまった。
「うん、ちょっと楽になった。ありがとう」
 店を出た時よりも思考がはっきりしていた。だから余計にこの場にいるのが恥ずかしい。
「ほら水」
 ペットボトルの蓋を開けて、差し出してくれる。
「ありがと……んっ!」
 起き上がり受け取ろうと手を伸ばした時、その手を孝士郎が掴んだ。そのまま引き寄せられ、唇が重なる。優しくふれた唇は莉緒の呼吸を閉じ込めるように押し付け、離れない。上唇を食み、下唇を食み、逃げられない甘いキスが続く。
「ん、んん」
 孝士郎とのキスを思い出す。
 莉緒にとっては孝士郎がすべて初めてだったので深く記憶に刻まれていたはずなのに、月日が経つほど感触はすっかり忘れ去られていた。男の人の唇は意外と柔らかいんだということを思い出して一気に身体が熱くなる。また孝士郎とキスをしているのだと思うと、動揺やうれしさと信じられなさで頭の中はぐちゃぐちゃだ。
「あ……」
 ふれるだけのキスをしながら孝士郎はベッドに乗り上げて、莉緒をゆっくり押し倒す。
「莉緒」
 目を開き見上げると、孝士郎がまっすぐ莉緒を見ていた。孝士郎は名前を呼びながら、またキスを落とす。
「ン」
 彼も酔っているのか、唇が熱い。何度もふれるだけのキスを受け入れていたら、ぬるりとした感触があった。彼の舌だと気づくと昔のように莉緒は唇を開いていた。孝士郎の舌を咥内に招き入れて、無意識に莉緒も舌を絡める。いやらしいキスに鼓動は高まり体温が上昇していく。
「……はぁ……」
 孝士郎が荒い息を吐いて、莉緒の服に手をかける。カットソーを持ち上げ莉緒を万歳させ、引き抜いていく。白いランジェリーがあらわになってしまう。彼に身体を見せるのは六年ぶりだということに気づき、咄嗟に手で隠していた。あの頃からは確実に体重が増えている。
「……どうして隠すの。昔さんざん見ただろ?」
 孝士郎は不満げに莉緒の手を掴み、簡単に剥がされてしまう。
「だって、久しぶりだし」
 彼に聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で呟いた。鼓動はずっと激しく鳴り続けていて、呼吸が浅くなる。
「久しぶりに莉緒の全部が見たい」
 優しく囁かれると孝士郎の手が莉緒の背中に回り、ぷつりとブラのホックを外した。そのままブラジャーも取り払われ、彼の手が胸の膨らみを撫でる。素肌にふれる久しぶりの孝士郎の手に、身体の芯から熱くなる。たださわられているだけなのに鼓動は高まり、呼吸が荒くなる。
 孝士郎の手は柔らかな膨らみの感触を確かめるように動く。決して大きくはない胸が孝士郎の手の中で形を変えていく。それだけではなく、指の腹が胸の先端を撫でた。つんと主張するそれをさらに指でくりくりと弄られ莉緒の腰がくねる。
「……ふ」
 敏感な部分をこすられると息が漏れる。ぞくりとした快感が断続的に続き、込み上げてくるものを我慢できない。
「気持ちよさそうだな」
「……っ、や」
 顔をじっと見つめられていることに気づき、顔を手で隠そうとする。けれどその手を取られ、ベッドに縫い付けられてしまった。孝士郎の熱い息が胸にかかり、そのまま乳首に舌が這う。
「んぅ!」
 ぬるりとした感触に、腰がびくんと跳ねた。それでもお構いなく孝士郎は莉緒の胸に舌を這わせた。乳首を口に含み、舌で舐り、吸い、時折食む。細かい刺激にいちいち反応してしまうのが嫌なのに、自分ではどうすることもできない。
「や、ぁ、んっ!」
「……いい声」
 孝士郎の熱い息さえも刺激になってびくびく身体が震えてしまう。勃ち上がって敏感になった乳首を口の中で転がされるたびに声が上がる。
 いつの間にか拘束されていた手は解かれていた。孝士郎は拘束していた方の手で莉緒の腰を撫で、下へ移動する。太腿を撫で、彼の腕が足の間に入ってくる。白いショーツの上から秘部の割れ目を太い指がこする。
「……ゃ」
 秘部はじんじんと熱くなっていて、少しふれられるだけで甘い疼きはさらに広がっていく。
「よかった、濡れてる」
 こんな行為、感じないわけがないのに孝士郎はどこか安心しているみたいだ。
 孝士郎はショーツに手をかけ莉緒の足から抜き取ってしまう。身体を隠すものがなくなってしまって心許ないのに、与えられる刺激にそれどころではなくなる。孝士郎は莉緒の乳房にキスを落としながら、秘部にそっとふれる。割れ目をなぞり、閉ざされていた場所を開くとわずかに濡れた音が響いた。
「あっ」
 孝士郎の指先が、隠れていた花芯にふれる。優しく指の腹で転がすようにされ、じわじわと込み上げる熱を感じた。すぐに達してしまいそうな予感に遥は思わず彼に手を伸ばした。
「や、だめ……」
 首を横に振り主張する。嫌というわけじゃないのに少しの怖さがあった。
「わかった。……じゃあこっちは?」
「ぁ……」
 孝士郎の太い指が様子を見ながら蜜口を撫で、莉緒の中に入ってくる。前の彼氏と別れてから一年は経過しているので久しぶりの行為に違和感が残るも、身体は準備ができているみたいだった。そのまま彼の指は奥まで入ってくる。
「中、あったかい」
 孝士郎の指がゆっくり動き始めている。そのたびにくちゅくちゅと淫らな音が響き、莉緒の欲はさらに煽られる。痛みがないとわかると次第に動きが速くなり、莉緒は腰を浮かせた。
「あっ、激し……っ、んっ」
 荒い息と声が漏れる。先ほどの快感とは違う種類のものが莉緒を襲う。でも今はだめだと言う余裕もなく攻め立てられていた。
 激しく動いていた孝士郎の指がぴたりと止まり、指の腹で莉緒の内側の壁をぐっと押す。
「あっ……!」
 莉緒が一層高い声を上げ、孝士郎は口角を上げた。
「ここ弱いの、相変わらずだな」
 中を探る孝士郎の指は莉緒が反応した場所ばかりをぐりぐりと刺激する。そのたびに莉緒の腰は跳ね、嬌声を上げる。
「やぁ、だめっ」
 叫び声に近い声だった。
「なにが?」
 知らん振りをする意地悪い孝士郎に、昔を思い出した。莉緒が彼の手で悶えるたびに彼はちょっとうれしそうにする。今も同じ顔をしていた。その顔をしている時は必ず絶頂に導かれていたことを思い出した。予感に身体が熱くなる。
「あ、待っ、や」
「いいよ」
 優しい声が落ちてくる。でもしていることは意地が悪い。莉緒が強く反応を示す場所ばかりをこする。もうやめてと手を伸ばしてもそこには届かない。
「あ、だめ、もう」
「うん」
「あ、あっ」
 目の奥が白く光り弾ける。
「んぅ――!」
 莉緒はびくんと大きく腰を跳ねさせ、達してしまった。
 ようやく中の指は刺激を与えるのをやめてくれた。そっと指が引き抜かれるも、まだ彼の指が中にあるみたいな違和感が残っていた。
「は、ぁ……」
 孝士郎はくたりと力を無くしている莉緒の足を掴み広げる。蜜口に、熱く硬いものが押し当てられた。
「あ……」
 ぼんやりした頭でもそれが何かはわかっていた。受け入れていいのか迷ったのは一瞬で、そんなことより孝士郎のものが入ってくる快感に飲み込まれていた。
 中をゆっくりと広げていく感覚。じわりじわりと熱が広がっていくようだった。
「……くっ」
 孝士郎が眉間にシワを寄せ、苦し気に息を吐き出す。苦しいのは莉緒も一緒で、胸を上下させて荒い息を吐く。
「莉緒……もしかして、久しぶり?」
 久しぶりの行為だとバレてしまったのは恥ずかしいけれど、素直に小さく頷いた。彼の反応が気になり顔を見遣ると「そうか」と小さく呟いた。
「孝くんは?」
「俺も久しぶりだよ」
 莉緒に気を使った嘘かもしれない。でもうれしかった。
 莉緒の中をいっぱいに埋める孝士郎の熱はびくびくと脈打っている。彼はなかなか動こうとしない。
「つらくないか?」
「……大丈夫だよ」
「少しこのままでいるから」
 孝士郎も苦しいだろうに、動かずに莉緒を抱きしめてくれる。孝士郎の体重がかかり、少し重いのになぜか心地良い。ドクンドクンと鼓動の音が聞こえてくるのはどちらの音かわからない。
 孝士郎はしばらくじっと動かないでいてくれた。妙な圧迫感のようなものは薄れていき、ただ彼の存在を内側に感じる。孝士郎の荒い息遣いが聞こえてきた。
「……いいよ?」
「え」
「私は大丈夫だから」
「……わかった。つらかったらちゃんと言って」
 ぽんと頭を撫でられ、孝士郎は眉根を寄せながら腰を引いた。莉緒の様子を見ながら再び押し入ってくる。
「あっ……」
「痛むか?」
 今の声は痛みから発せられたものではない。莉緒は首を振った。
「……ううん。気持ちいい」
 躊躇なく答えていた。昔だったらきっと恥ずかしくて言えなかった言葉だ。六年前の彼との行為で自分がどうだったかは覚えていないけれど、きっとそんなことは言えなかった。
 現に孝士郎は目をまるくしている。
 そのあとすぐに熱のこもった視線で莉緒をぎろりと睨んだ。
「……っ……それは反則だ」
「あっ!」
 孝士郎が急に激しく動き始める。今までとはまるで違う動きに莉緒は戸惑いながらも嬌声を上げてしまう。睨んだつもりだったのにどうしてこうなっているかわからない。
「やば、気持ちいい」
 孝士郎はぼそりと呟き、律動を速める。
「んっ、ん、あぅ!」
 激しい揺さぶりに莉緒の声は比例して甘く高くなっていく。中をこする孝士郎の熱は先ほどよりも硬度を増している気がする。中をえぐるような刺激に莉緒は腰を仰け反らせる。
「あっ、激し……! あぁっ!」
「悪い。気持ち良くてとまれない」
 孝士郎の言うとおり彼の律動は速まるばかりだ。
「あ、んっ、あぁ!」
 莉緒も声を我慢することができない。気持ちがよくてどうにかなってしまいそうだ。
 見上げると引き締まった身体と汗ばんだ肌、鋭い視線で射貫く瞳。孝士郎に抱かれていると思うと不思議な感覚で、六年前に戻ったのではないかと錯覚してしまいそうになる。
 でも目の前にいる人は六年前とは違う。大人っぽく、さらに男らしくなっている。莉緒を求める激しい揺さぶりもあの頃とは違う。
「っ、いきそう」
 吐息の合間に孝士郎が呟く。
 彼の切羽詰まった表情はあまりに色気があって見とれてしまう。莉緒との行為でこんなに余裕をなくしているのだと思うとうれしくて、身体は自然と彼の熱をしめ付けていた。
「あ」
 孝士郎が短く声を上げる。莉緒の中をずんと深く突き上げ、絶頂に向かっている。莉緒も届いたことのない場所をこすられると意識が飛んでしまいそうになる。
「……っ!!」
 孝士郎は息を詰め、腰を震わせた。莉緒の中で彼の熱が薄い皮膜越しにも震えているのを感じる。しばらくの間そうしていた。
「……はぁ……」
 孝士郎が深く息を吐き、熱を引き抜く。
「……あ、ぅ……」
 ずるりと引き出される熱の刺激でさえ莉緒は声を漏らしてしまう。全身が敏感になっていてしばらく動けそうにない。
「……莉緒」
 汗ばんだ身体でぎゅっと抱きしめられて、甘い声で名前を呼ばれる。
 莉緒は心地良い疲労感に瞼を閉じた。

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